いよいよ今回で原則毎の分析は最後です。お付き合い頂き有難うございました。今回取り上げるテーマは、原則6「アカウンタビリティ」です。
アカウンタビリティとは、「説明責任」と訳されることが多いようですが、少し分かりにくい言葉です。そもそも会計用語で、Accounting(会計)とResponsibility(責任)の合成語で、「会計説明責任」という意味でした。実際には会計を離れ、多くの現場で使われるようになり、「求められた基準に対する結果責任」というように、レスポンスビリティに比べ、より基準に基づく成果に対する「執行責任」とか「最終責任」と捉えていいようです。
この成果に対する責任を組織としていかに果たしているかを診断したのが、今回の調査結果ですが、内容は厳しいものとなっています。弊社では通常、40ポイント以下は要注意として取り扱っていますが、アカウンタビリティの全体平均はそれ以下の33ポイントです。特にチームの達成基準についてのポイントが低く、この項目の平均スコアは30となっています。
このスコアからみると、「成果の達成責任」について課題が山積しているように参られますので、項目毎に主な要因を探ってみましょう。
| チームのアカウンタビリティ | チームの達成基準 | 個人のアカウンタビリティ | アカウンタビリティの全体平均 | |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 34 | 30 | 36 | 33 |
| 経営者 | 44 | 35 | 45 | 42 |
| 管理職 | 44 | 39 | 44 | 42 |
| 一般社員 | 31 | 27 | 34 | 31 |
チーム内での曖昧な責任の所在!
いくつかの設問に対する回答の中で注目させられたのが、「少なくとも月に一回直属上司と目標の達成状況を見直している」と答えた人が全体の22%に留まったことです。この傾向は一般社員に特に強く、約5人に一人以下しか上司と月一回の見直しを行なっていません。この傾向は、企業規模の大小に関わらず同じような傾向として現れていました。
一方、年収別に見てみますと、年収1,500万円から2,000万円の層は、他の層に比べ飛びぬけて高く、50%以上の人が「月一回直属上司と目標の達成状況を見直している」と答えています。大変興味深い結果です。年収の高い人が役職の高い人と考えた場合、「上司との目標確認の重要性が役職の高い人ほど重要に考えている」と推測できます。
ビジネス環境の変化が激しい現在の状況下、私たちは常に変化への対応を求められています。「責任の所在は明確だ」「自分は結果責任を引き受けている」と答えていたとも、実際にその状況変化を報告し、確認を上司と行なっていない状況で如何に成果を達成していけるのでしょうか。
同時にこの課題は、一般社員側のものだけではなく、積極的にチームの状況確認を行なって、課題に対処していくことが求められている管理職にも責任があると言えます。組織のリーダーとして組織力を高める上での推進役である管理職は、このことを十分に認識し、定期的に確認を行なうことを推進する必要があります。
達成基準無くして、いかに責任を引き受けるのか?!
チームの目標達成基準についてのスコアは30でした。達成基準に関して、このように低いスコアでどうやって責任を果たしたと言えるのでしょう。
特に顕著だったのは「達成基準の視覚化」です。「達成基準が視覚化されていて、全員が確認できる」ようになっていると答えているのは、全体で23%の方でした。フランクリン・コヴィーでは、ここに注目しています。この「達成基準の視覚化」こそ、組織の実行力を高める重要な要素であると考えているからです。
友人とボーリングをするシーンを思い浮かべてください。そして、次のような設定になっていたら、どうなるでしょうか?
- カーテンがレーンの途中で敷かれていて、ピンは見えません。
- 音はきこえるかも知れませんが、何本倒したのか分かりません。
- ただ、ボールを転がすだけです。
このような状況で、ボーリングを楽しむことができるでしょうか?何のためにボールを転がすのか、分からなくなってしまいます。きっとやる気を失い、ボーリングは止めてしまうでしょう。私たちは、ボールを転がすことによって何本のピンが倒せたかが分かるから、ボーリングに熱中し、楽しむことができるのです。
ビジネスでも同じです。「計画通りに進んでいるのか」もしくは「遅れているのか」といった進捗状況が分かって初めて、達成への責任感が生まれます。視覚化できていなければ、分かりません。この「状況を把握する」ための視覚化ツールが、スコアボードです。このスコアボードの有効性について、是非見直していただきたいと考えてます。
個人の責任感は強い!
個人の「結果責任」に対するスコアは36と比較的高くなっています。
「自分の仕事の結果に対する責任を負っている」と答えた人は、全体で50%を超えていました。一般社員でも49%の人が「責任を負っている」と答えています。全体として、個人の結果に対する責任の意識の高さが感じられます。
その一方「影響できないことではなく、影響できることに集中している」と答えた人は、全体で14%でした。皆さんは、日々、影響のできないことに対して努力しているのですか。もしそうならば、一体何を生み出しているのでしょう?実際には、多くの人が影響できないことに集中してしまっている現実を理解し、影響できることに集中できるように変えていくことが必要です。
同時に気になりましたのが「状況が悪くなった時でも他の人を非難することはしない」と答えた人が、32%に留まったことです。「結果責任を負っている」と答えながら、「状況が悪くなった時に他の人を非難する」ことをしてしまう。この課題を組織として如何に捉え、改善していくかが、問われています。
【最後に】
皆様の会社が組織の実行力をより高め、期待された成果を上げ続けていただけること願っております。私どもフランクリン・コヴィーがお手伝いできることがありましたら、お気軽に弊社営業担当もしくは、セールス・プランニング・チーム(03-3264-7417)までお問い合わせ下さい。
「最も創造的で生産的な仕事は、なすべきことを上司が命じるのではなく、人々が互いに進んでコミットメントを行なうときに生まれる」(ジェームズ・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー2』著者)
