導入事例・レポート
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ジョージフィッシャー株式会社 7つの習慣®導入事例

2013.6.18

自らアクションを起こして動く、というパラダイムシフトを
いかに起こすかに重きを置きました。

ジョージフィッシャー株式会社
Division Manager
矢野 篤志 氏

スイスに拠点を置くジョージフィッシャー社は、プラスチックパイプの配管システムを扱うパイピングシステム事業、工作機械事業、オートモービル事業の3つの事業を行なっている、従業員13,000名、140ヶ所、50の生産工場を持つグローバルカンパニーだ。今年、「戦略2015」として新たな中期計画が策定され、3月のスイス本社で行われたグローバル幹部会議の場での計画発表の後、全世界で戦略共有のためのミーティングやワークショップが行われてきた。

その中で、パイピングシステムズ事業部門が2015年までに達成する目標を簡潔に表現しているのがスローガン「3-2-1-Go」であり、「産業、公益事業、建築技術の3分野で売上倍増、グローバルなチームが一体となって取り組む」を表している。このスローガン「3-2-1-Go」のなかで「1」という数字が世界中の社員を一つのチームとしてまとめるという人事に関わるもので、国や地域を超えたチームワークを持つ組織を作り上げるためのチームビルディングのトレーニングを積極的に行なっている。地域を超えたチームビルディングを効果的に行うには、どこにでも通用する基軸が必要となるが、そのチームビルディング・トレーニングの中核として採用されたのが「7つの習慣®」だ。ジョージフィッシャーパイピングシステムズのPietro Lori代表は、全社員に向けた戦略2015の説明の中で「社員の一体感を強め、当社の価値を育み、チームワークとは何かという共通認識を生み出すためには全社員が共有できるモデルが必要である。当社のチームワークをどう評価するかについて共通用語と共通認識が必要である。トレーニングにフランクリン・コヴィーの「7つの習慣®」を選択・適用したのもこうした理由である」と述べている。

ジョージフィッシャーでは、こうした共通認識を深めるために、さまざまな工夫を行なっている。そのひとつが、全社員が持つこのカードだ。カードの表には、ジョージフィッシャー パイピングシステムズのミッション「私たちは、液体とガスの安全かつ確実に輸送するためのパイピングシステムを設計、製造および販売することに全力を尽くします」が書かれてあり、裏面には、「7 つの習慣®」の成長の連続体が掲載されている。ミッションと並んでカードに記載されているほど、ジョージフィッシャー社では、「7つの習慣®」の原則が重視されている。

「7つの習慣®」に基づくチームビルディングセミナーは、世界中でグローバルチームワークの構築に向けて実施されているが、日本でその重責を担っているのが、パイピングシステムを取り扱う日本法人であるジョージフィッシャー株式会社の矢野篤志氏だ。2010年12月に東京で全社員に対して「7つの習慣®」のトレーニングを実施した矢野氏にグローバルで「7つの習慣®」を展開する意味、そして価値についてうかがった。

―グローバルカンパニーでありながら、「ひとつのチーム」であることを強調されています。

戦略2015のスローガン「3-2-1-Go」で示された“ひとつのチーム”というのは、グローバルビジネスにおいて直面する複雑な問題に対して、完全な解決策を提供する取り組みにほかなりません。私たちのお客様の多くは国と地域をまたがってグローバルにビジネス展開されています。お客様の求める複雑なニーズに対応したソリューションとして、世界各地で開発、生産された商品をアプリケーション・システムとして提供していかなければなりません。日本法人の社員として活動していても、常にグローバルに考え、接していかないといけない、そういう意味でのパラダイムシフトが必要なのです。フランクリン・コヴィーの「7つの習慣®」に基づくチームビルディングを実施することでグローバルチームワーク構築に向けた取り組みを加速させたいのです。

―ジョージフィッシャー様のバリューと「7つの習慣®」の関連性を非常に強く感じます。

戦略2015には5つのバリュー(価値観)が示されていますが、一つひとつを読み込んでいくと「7つの習慣®」の持つ原則が、うまいぐあいにこれらバリューの中に落としこまれていることに気づきます。また、人事評価制度についても、私的成功と公的成功の原則が取り入れられています。世界中の社員に向けて、あなたの成功は会社の成功につながっており、あなたの成功を会社も喜び、そして正当に評価し、それに準じたプロモーションとリワードを与えるというメッセージが込められていて、私的成功と公的成功をうまく組み合わせた制度となっています。

―なぜ「7つの習慣®」を採用されたのでしょうか?

ジョージフィッシャーが本当の意味でグローバルに展開していくためには、スイス本社においてもパラダイムシフトが必要だったのではないのでしょうか。海と山の違いはありますが、スイスもある意味日本と似た地理的環境にあります。しかもスイス国内には大きなマーケットはありません。ヨーロッパ、そして全世界がマーケットになります。また積極的な投資より、製造拠点も世界中に展開しています。そうすると、グローバルカンパニーとしてこれまでとは全く違ったパラダイムを持つ必要が出てきます。統一された、共通となる言葉、考え方の必要性が高まったのだと思います。

―世界中に7つの習慣®を浸透させると言っても簡単ではありません。実際どのようにして、研修を行われるのですか?

この『7つの習慣®』プログラムは2004年にはじまっています。最初はジョージフィッシャーのコーポレートの経営幹部が受講しました。その1年後にフォローアップ研修を行うと同時に、グループ各社のトップマネジメント数十名がさらに受講しました。次の年は、その20〜30人のレビューとさらに追加メンバーが受講するという形を取りながら、徐々に受講人数を増やしています。2010年末現在、世界中で約500人が受講しています。日本で行なったのは、2010年11月です。私は2008年に入社して、その年の5月のアジア・オセアニア地区の社員を集めたトレーニングを上海で受け、その後すぐに、スイスに行ってグローバル・ファシリテーター養成プログラムを受けました。現在、世界で私を含め15名のグローバル・ファシリテーターがいます。

―当時、日本での人材開発における課題とはどのようなことでしたか?

日本には、ジョージフィッシャー・ジャパンとしてのビジョンがあります。このビジョンを実現していくときに大きな障壁となるのは個々の社員の持つマインドです。1985年に株式会社クボタとの合弁で会社が設立された以降、いろいろな社歴と経験を持った人たちが混在しています。2002年にスイスのジョージフィッシャーがマジョリティーを得てからは、所謂、外資企業となっていますが、会社設立28年の歴史の中でいまだに大手日本企業の一部門であるという意識からなかなか抜けきらないところともありました。それをいかに取り外すかが、「7つの習慣®」を導入したときの課題でした。

また、平日の2日間、営業活動を止めて研修を行うわけなので、単に、「いい気づきを与えられた研修でした」と受講後の感想のみに終わるのではなく、日本で研修をおこなうことの意味は何かを明確にするのが私自身の課題でもありました。我々は外資企業であり、常に結果を出し続けていかなければなりません。会社のビジョンに向かって社員一人ひとりが貢献することを求められています。そのためには言われたからやるのではなく、自らアクションを起こす、動くという気づきを得なければなりません。我々は、こうしたパラダイムシフトをいかに起こすかに重きを置くようにしました。そのために「7つの習慣®」を取り入れたのです。

―矢野様にとって「7つの習慣®」は、どのようなインパクトを与えてくれましたか?

私にとっての「7つの習慣®」は、会社の中で機会をいただいたのですが、自分にもともとあった意識とそう大きな乖離はありませんでした。というのも、国内企業から外資へ移るといった環境変化は私にとって苦痛ではありませんでしたし、これまでいろいろな異動や環境の変化がありましたが、ネガティブに考えることなく、常に自分の中の軸をぶらすことなく行動できていたと思っていました。上海、そしてスイスでのトレーニング、そして自らファシリテーターとして行った東京でのトレーニングを通じて、これは「7つの習慣®」だったのかと思いました。
それまで常日頃、自分の中で考えていたことが、「7つの習慣®」の教えと近いものでしたから、自分が思っていたことに裏付けができたことはとてもありがたいことでした。自分の中に明確に落とし込むことができたのは、大きなインパクトでした。自分が持っていた軸は間違えてなかったと改めて感じました。

―受講者への「7つの習慣®」の反応はいかがでしたでしょうか?

昨年の東京でのトレーニングに参加した社員は年齢・ポジションに関係なくインパクトがあったと思います。外資企業の社員としての立ち位置と、日々の営業活動の狭間で抱えているフラストレーションやストレスはかなりのものです。社員一人ひとりが「刺激と反応」の考え方などを学ぶことで、確実に立ち止まって考え直したり、今まで以上にポジティブな意識が出てきたりするようになりました。すべての社員がすぐに変わることはできませんが、確実にパラダイムシフトが起こっています。