導入事例・レポート
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富士火災海上保険株式会社 社内インストラクター養成制度 導入事例

2013.8.16

社員講師とカスタマイズで受講者の理解度アップ

損害保険業界は、2000年初頭と2010年の二度の業界大再編にさらされ、今なお変革のなかにあります。1918年創業、従業員数約5500人(2013年3月現在)の富士火災海上保険も例外ではありません。2000年にアメリカの保険会社、AIU保険と業務提携したことを契機に社員教育の抜本的な改革が必要となりました。そこでできた組織が富士アカデミー人材開発センター。新入社員からマネージャーまでの体系的な教育体制を築き、運営しています。そんな同社の教育のなかで重要な位置を占めているのが「7つの習慣®」です。コーポレートビジョン「7つの価値観」と関連づけ、新入社員時に「ディスカバリー」、入社7-8年目のチーフ昇格時に「7つの習慣®」を学ぶなど、富士火災の社員教育全体を通して活用されています。研修プログラム「7つの習慣®」は2005年に導入し、既に800人以上が受講。さらに新入社員時からそのエッセンスを学ぶために、2013年から新たに「ディスカバリー」も導入しました。現在、社内インストラクター資格を持つ社員が講師となって研修を実施しています。

インタビュー:
AIGジャパン・ホールディングス株式会社
リージョナルHRビジネスパートナーズオフィス
執行役員 西田 直樹 氏

いかに社員に自立を促すか。その答えが「7つの習慣®」

当社は95年前に日本の損保産業のなかに産声を上げた会社です。日本の損保業界はこの10年余りで大きく変わりましたが、もともとはとても保守的な産業です。それは長らく行政が規制により金融行政を守り続けるという、いわゆる「護送船団方式」で運営していたからで、そのような保護行政下の業界で育った人間は、当然ながら保守的な気質になります。ところが徐々に行政の方向性も変わり、金融の規制緩和により「護送船団方式」が通用しなくなったのが10数年前。業界の主な会社は、国内の会社同士で合併するという選択肢を選びましたが、当社だけは唯一、外資のAIGグループと連合する道をとりました。

元来「護送船団」とは違った生き方をしてきたAIGグループは、当社とは社員の気質もまったく違います。そこから当社の歴史は大きく変わり、選んだ道に合わせて社員も大きく変わっていかなくてはいけなくなりました。長いこと保守的だった企業文化をどう変えるか、いかにして社員に自立を促すかは、当時も今も当社にとって極めて大きな課題です。言われたとおりに目標に邁進することが良しとされた時代から、自分のやるべきことを自分で考えて判断し、進んでいくという習慣づけをさせる必要がある。その課題にマッチしたのが「7つの習慣®」でした。

たとえば会議の風景ひとつとっても、当社とAIGグループとは正反対でした。当社はそれほど積極的には意見を述べません。意見を述べる場合があっても非常にやんわりと伝えますが、AIGグループの会議は喧嘩をしているのかと思うほど激しく意見を交わします。ところが会議が終わると言い合っていた人同士がニコニコしながら仲良く出て行くのです。提携した当時、同じ業界でもこんなに違うのかとショックでしたね。

西田氏らが中心となり「7つの習慣®」の導入を行った

導入から8年。社員の自律心やキャリアマインドが高まる

「7つの習慣®」の良さは、ぶれない軸がありバランスが取れているため、今後様々なことを学ぶにあたってのベースになることです。研修は、前半部は「自立(自律と自制)」を、後半部は「相互理解・相乗効果」について学びます。個人として自立することで、自立した個人がお互いを理解し、相乗効果を生み出して組織として強くなっていくことを目的としています。当社の場合、協調は十分にできているので相互理解・相乗効果はできていると思っていました。しかし先ほど申し上げた会議の風景が象徴的ですが、表面的には仲がよく一見協調しているように見えていても、相乗効果を生み出すような踏み込んだ意見交換まではできていなかったのですね。やはり前半部の「個人の自立」と後半部の「組織における相互理解・相乗効果」の両方が大切なのだと実感しました。「7つの習慣®」は、世界の成功者たちの普遍的な事例が整理されているので、部門や業務内容に捉われずどのような課題にも通用する内容だと思います。

当社は、2005年に「7つの習慣®」を取り入れました。導入してから約8年になりますので、社員の意識はだいぶ変わってきました。主体性、ミッション、タイムマネジメント、Win-Win、相乗効果など「7つの習慣®」の内容が社内の共通言語になり、日常のあらゆる場面で取り入れられるようになっています。社員の自立心やキャリアマインドは確実に高くなってきていますね。なかには保守的な考えや行動からなかなか変われない人もいますが、少なくとも「今のままではいけない」という意識付けはできています。そう思うことが大切で、それが変革への第一歩になると思うのです。研修は毎回好評です。自分のなかに生き方の軸を持てるような内容なので、受講した人はみんな非常に前向きに、明るい表情で仕事に帰っていきます。個人が仕事で成果を出すこと、すなわち個人の成功という幸せが会社の発展につながるという内容が腑に落ちて、仕事に迷いがなくなるのでしょう。

『「7つの習慣®」は仕事だけじゃなく、人生において大切なことを教えてくれますね』

コスト削減とカスタマイズが社内インストラクターの利点

「7つの習慣®」を社内インストラクターで実施している理由のひとつはコストが抑えられるからです。研修コストで大きいのは全国の社員が会場に移動する交通費ですが、社内インストラクターを派遣すればそのコストは20分の1、30分の1になります。さらに、当社なりのアレンジができるため、研修の効果がより高くなるということも社内インストラクターで研修を実施している理由です。当社では、通常のコンテンツにオリジナリティのある内容を加えています。

たとえば「目的を持って始める」という話なら、当社のビジネスのミッションを話すことで、日常の業務とのつながりをより明確にしています。ケースを考えるときも一般論ではなく、「当社の損害保険というビジネスに落とし込むとこうなりますね」、「たとえば代理店との関係ではこうですね」と具体的に話すことで、納得感がまったく違ってきます。受講者が理解を深めるという点では、インストラクターは社員であるほうが断然いいと思います。また、当社はコーポレートビジョンとして、社員が志向すべき「7つの価値観」を掲げており、この内容も「7つの習慣®」のカリキュラムと関連づけて、社員への浸透を図っています。今、当社はどのような経営方針で何を目標としているかなど、その時々の状況もすべて織り交ぜながら話せるのも、内製化のメリットですね。

「7つの習慣®」に合わせて作った行動規範。社員全員が携帯し、迷った時も原点に立ち戻る。

研修チームのメンバーのスキルとモチベーションも向上

社内インストラクターの不安点を挙げるなら、やはり普通の社員がたまたまそこに配属されただけであって、プロフェッショナルの講師ではないという点でしょう。その懸念を払拭するために、講師を養成するためのトレーニングには力を入れています。研修風景をビデオに撮って、批評しあうなど講師同士が切磋琢磨する機会をかなり設けました。もちろん適性はありますが、本人がその研修の内容に確信をもち、チームのメンバーとともに様々なことを学び、しっかり努力をしていけば、普通の社員であっても十分にインストラクターとして力を発揮できると思います。

自分で教えることをしなければ、社内教育のセクションはただのコーディネーターになってしまいます。研修の日時を組んで、誰を呼ぶかを決めて、実施してお金を払うというように。プロフェッショナルの講師を手本に、本気で人に教える・人を導くとはどういうことかを学ぶことで、彼ら彼女ら自身も磨かれていきます。自分たちが成長している実感を持ち、モチベーションが上がるという非常にいい効果が、チーム内に生まれてくるのです。社内インストラクターが様々な部門との接点になり、現場の課題の吸い上げや社内の多様な人材との出会いにつながることもメリットの1つです。課題を次の研修に活かすことはもちろんのこと、研修を通じた良質なコミュニケーションが人材の発掘や現場ニーズの把握にもつながっていて、人事部門全体でとらえても大きな効果を発揮しています。

社内インストラクター制度を導入したことで、社内教育に携わる社員の成長にもつながった

社内インストラクター養成制度

フランクリン・コヴィーとのライセンス契約に基づいて社内インストラクター資格を取得し、同社の研修プログラムを組織内で実施できる制度です。多くの企業で研修の内製化が進むなか、より質の高い研修を実施できるよう所定の養成プログラムや研修ツールの提供など、様々な支援をしていきます。社内インストラクター活用による研修の内製化にはコスト削減のほか、組織の課題や状況に即したコース設計ができるといったメリットがあります。

社内インストラクター養成制度の詳しい内容はこちらから