導入事例・レポート
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前半:新入社員向け研修 ディスカバリー講師インタビュー

2013.12.25

フランクリン・コヴィー・ジャパンの研修プログラム「ディスカバリー」は、新入社員が1日でも早く組織にとって重要な戦力となるよう、組織人として必要なマインドを身つけることにフォーカスした研修プログラムです。今回は講師を務める斎藤氏に本プログラムについてインタビューを致しました。前半と後半に分けた2部構成でお伝えいたします。

―「斎藤講師は講師でありながら、ディスカバリーの開発にも携ったとお聞きしました。今回コンテンツを刷新し、レベルアップしましたが、開発にご協力いただくにあたり、どのような点に留意されたのでしょうか。」

斎藤「はい。まず今回の改訂において、コンテンツのレベルアップという話をフランクリン・コヴィーの開発担当者から聞きました。ディスカバリーは、実際はそうではないのですが、テキストを一見すると内容が易しく見えてしまうということがありました。しかし私の中では、今回の改訂でテキストが本来の内容に追いついたというイメージですね。テキストのそのものはシンプルで易しく見えがちですが、元々実際のコンテンツは、実はとても深いレベルの気づきを参加者から引き出し、内省化してもらうという仕掛けになっています。

しかし、それはセミナーが始まってみなければ実感値を得にくい、というもどかしさもありました。導入担当者の方々の中にも、簡単すぎるのではないかという感覚をお持ちの方もいましたが、実際にセミナーを見ていただくと「そこまで深堀するのか!」とパラダイムが変わることも少なくありません。

以前のバージョンではコンテンツがモジュール化され、独立感がありましたが、それを2日間の流れに組み立てたという点については、セミナーを受ける中で、参加者が現在地を理解しやすい、また人事担当の方々も安心して後ろで見ていられるというメリットがあると思います。勿論、以前のバージョンのモジュール型もメリットが沢山ありました。モジュール化することで、2日でも、1日でも、半日でもニーズに合わせて自由な設計ができるところや、入社時にモジュールの半分をまず実施して、入社半年後に残りの半分のモジュールをフォローとして実施するといった、フレキシブル感がコンセプトにありました。私も前職で人事担当だったのでよくわかるのですが、フレキシブルであるということは、人事担当の方々にとっては、特に新入社員研修全体のスケジューリングといった面からも非常に使い勝手がよいと思います。

しかし、そもそもセミナーを導入する目的を今一度振り返ると、この激流と化した競争化社会の下で、新たな「人財」たる新入社員に最初に、しかも強烈に伝えたい大切なことは何か、ということに尽きると思います。学生から社会に足を踏み出す人たちのエンプロイアビリティについても考える必要があります。学生とは一線を画す世界に飛び出して、これから活躍し、結果を求められていく人たちなので、そのスタンスや自身のマインドについて深いレベルで考え、気づき、そして社会人としてのマインドを明確に意識した上に結果を積み上げていく。その第一歩となるセミナーとして、今回ストーリー化されたディスカバリーは、そのコンテンツ量も約1.5倍と増強され、パワフルに仕上がっていると思います。」

―「最近の新入社員の方々とセミナーを通して接してみて、何か特徴的なことは感じますか?」

斎藤「特徴は形をつくるのが上手ということ。計画を立てるとか、書類を作成するといったスキル的なことはものすごく要領よくやっていると感じます。私が新入社員だった時代には絶対できなかったような書類作成スキルを持っていたりもしますが、一方でビジョンや実行力の弱さを感じることがあります。新入社員の方々と話をすると「自分は仕事を通してこうなりたい」とか「この会社に入ってこういう仕事がしたい」といったような、割とわかりやすいビジョンが見えてこないことが増えてきているんですよ。

私は自動車メーカー出身ですが、当時は「レースで勝つクルマを作りたい」とか、「レースで世界を転戦したい」とか、「モーターショーでみんなをアッと言わせるクルマを作りたい」といった、自分の仕事に対する世間の反応やお客様の喜ぶ顔、感謝の言葉など、そういったことを答える人が多かったように思います。しかし近年気になっているのは「幸せ」という言葉です。セミナーの中で「どうなりたいの?」と質問すると、「幸せになりたい」という回答をよく耳にします。そして「誰が幸せになりたいの?」と尋ねると「私が」と。それでは「幸せってどういう感じなの?」と聞くと、そこから先は特にビジョンを描いていない。「毎日の生活で幸せってどういうこと?」とさらに質問を続けると、「午後から2時間昼寝できる会社」と答える新入社員の方もいたりします。」

―「それは特定の企業ということだけではなく、全般的に散見されていることでしょうか。」

斎藤「そうですね。今、新入社員だと1990年代生まれくらいでしょうか。バブル経済がはじけるちょっと前、そして物心ついた時はバブルが弾け、親御さんが苦労している姿を見ている世代ですよね。そういった状況をずっと見聞きしていると、「とりあえず最低限の幸せが手に入ったらそれでいい」といったような、妙な厭世観を持っていたりする傾向があると言えますね。

別のセミナーコンテンツになりますが、ストレスマネジメント研修「アンサンブル」のフレームに、「抑止力」と「推進力」という考え方があります。人間は基本的に成長欲求があるはずで、自分自身成長したいとか、周りを幸せにしたいといった前に進もうとする欲求があるんですが、一方で今より不幸にならなきゃいいやという自分を抑えてしまう気持ちもあって、どちらかというと後者の方が色濃く出ているのかもしれません。」

―「ビジョンと実行力に課題が見受けられることが増えてきたわけですね。では、今回新しいディスカバリーは、企業側が抱えている新入社員に関する問題の解決に対してどのようなところがマッチしていると思いますか?」

斎藤「根底にあるのは一言で言うと「すべての行為、全ての動作には意味がある」ということ。例えば、朝の挨拶も「おはようございます」とは早いから言っているのではなく、「今日も1日よろしくお願いします」とか「今日もこれだけ元気です」という気持ちや意味を込めて「おはようございます!」と言っている、といったようなことです。早く帰る時も「何かお手伝いすることありませんか?」というのは周りへの気遣いや、「これでいなくなりますけど心配しないでくださいね」など、いろんな思いがあって言うわけです。

挨拶のように、既にビジネスの世界で慣例的にあるものの中の意味があるということも勿論ですが、私なりの言い方をするならば「人生を分厚く生きて欲しい」というメッセージです。1つの行為に自分なりに付加価値をいっぱいつけて欲しいという思いがあります。

私が自動車メーカーにいた時、事務所のすぐ横が現場で、扉を開けるとメカニックが自動車整備しているのが見えるといった環境でした。そこで新入社員がまず最初にやるのは作業ブースの掃除なんです。先輩が作業した後に掃除をするんですが、これを昔の部活の下級生の役割と同じように捉えてしまうと、旧態依然な感じがしますよね。でも掃除をしている中で、この先輩は工具をこういう配置にしているから動きがいいんだとか、床の汚れからその先輩の動線に特徴があるといったことにふと気が付くんです。

そういう小さなことでも発見して自分の仕事に取り入れ、実行していく人は成長していくんです。ただ「やらされている」だけだと、自分の服が汚れるだけで一所懸命仕事をしたと満足し、その反面ちっとも仕事は上達していきません。言われたことひとつにしても、自分の中で意味をつけられるかどうかということと、そしてその先輩たちが思いを込めているとすれば、どういう思いなんだろうと想像すると、それは「単なる作業」ではなくなり、自分なりの仕事に対する付加価値になるのだと思います。

セミナーでは配属先で「電話を取るのが新入社員の役目だよ」と言われたら、という話をします。そこで「なんでだと思う?」と尋ねると、今の自分にできるのは電話をとるくらいだから「自分が一番暇だから」と。これも先ほどの事例と同じですね。確かにそうかもしれないけれど、新入社員のときにかかってくる電話は本人あての電話でないことがほとんどじゃないですか。新人ですから。

基本的に取次ぎが殆どという状況である中、「○○さん、お電話です」と取り次ぐだけでも、先輩とコミュニケーションをとるチャンスだったり、お客様の名前を覚えたりするチャンスだと捉えることもできるはずです。それは「単に電話を取る」という作業を押し付けられたわけではなく、まずはそういう場を提供してくれていると思ったら、取り次ぐときも行動が変わってくるはずですよね。そこがマインドなんです。電話応対のスキルもビジネスマナーも大事ですが、それ以前に「何故」それが必要なのかということを肌で理解し、組織人として結果を出していく土台を作ること、つまりマインドセットが成長のカギになるということです。」

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