人材育成で大切なこと14選!階層別のポイントを解説

従業員が組織にとって貴重な財産になるか否かは、人材育成の方法が大きな鍵を握ります。この記事では、人材育成で大切なことを14のポイントに分けて解説します。人材育成を任されることになった人事・HR担当の方や、部下を育成する立場の管理職・マネジャーの方は参考にしてください。

人材育成とは?

人材育成とは、組織の持続的な成長を支える人材を戦略的に育成する取り組みです。まずは人材育成の定義、そして人材教育や人材開発との違いを解説します。人材育成は、人事・HR部門が中心となって設計するテーマであると同時に、現場で日々メンバーと向き合う管理職やリーダーにとっても不可欠な役割です。本記事では、HR担当者と部下を持つ上司の双方の視点から、人材育成のポイントを解説します。

組織の発展に貢献する人材を育てること

人材育成では単なる知識やスキルの伝達だけでなく、従業員の潜在能力を最大限に引き出し、組織の目標達成に貢献できる人材へと育てることを目指しています。実務を通じた学び(OJT)、自己啓発、eラーニング、職務ローテーション、評価制度など、さまざまな手法を組み合わせることで、効果的な人材育成が実現します。

人材教育との違いは?

人材育成と人材教育は似て非なるものです。人材育成は、組織のビジョンに沿って人材を総合的に成長させる幅広いプロセスを指します。一方、人材教育は業務遂行に必要な特定の知識・技術を教授することに焦点を当て、人材育成を構成する要素の一つとして位置づけられます。

人材開発との違いは?

人材育成が、組織のニーズを起点として必要な人材を育てることを重視することに対し、人材開発は個々の従業員のキャリア志向や適性に合わせた支援を重視します。従業員が主体的に自己のスキルを高められるよう、学習機会の提供に重点を置くのが人材開発です。

人材育成で大切なこと14選

ここではスキルの可視化や目的の明確化など、人材育成で大切にしたい14のポイントを解説します。

1. スキルの可視化

スキルの可視化によって、個々の強みや伸ばすべき領域が明確になり、効果的な育成計画の策定が可能になります。育成の優先順位付けや成長の進捗確認が容易になるだけでなく、従業員自身のキャリア意識向上にも寄与します。

2. 目的を明確にする

人材育成では、なぜ育成を行うのかという目的を明確にしましょう。明確な目的は、個人の自己啓発への動機付けとなり、自発的な成長意欲を高めます。また、具体的なゴール設定があることで、成長の進捗も確認しやすくなります。

3. 自発性・自主性を養う

育成対象者の「自主性」と「自発性」は、人材育成において注目すべき力です。自主性とは、与えられた課題を自らの判断で遂行する力を指し、自発性とは、指示を待たずに自ら課題を見つけて行動する力を意味します。2つのバランスがとれた人材は、組織の変化や課題に柔軟に対応できます。

4. 担当者のスキルを高める

育成の成功は、人事・HR担当者や現場の管理職など、「育成を担う立場」の人が持つ「目標管理スキル」「コミュニケーション技術」「論理的思考力」などのスキルレベルに大きく依存します。担当者の言行一致と適切なスキルレベルが確保されてこそ、組織全体の人材育成が実効性を持ちます。

5. 明確な目標を設定する

人材育成においては、測定可能で達成可能かつ明確な指標を設定することで、育成の方向性と成果を可視化できます。組織レベルでは事業戦略に連動した人材要件を、部門レベルでは各チームに必要なスキルを、個人レベルでは現状とのギャップ分析に基づいた成長目標を、それぞれ設定しましょう。

6. 適切なリソースを確保する

人材育成は、組織の未来への投資であり、その取り組みは長期的な成功に直結します。短期的な業績や緊急課題に追われると、育成が後回しになりがちですが、時間と資源を適切に配分することで、将来的により大きな成果をもたらします。

7. 最適な育成スキームを選ぶ

人材育成の効果を最大化するには、成長段階に応じた学習アプローチが不可欠です。若手層にはOJTやメンター制度が効果的であり、中堅層には多様な経験を通じた視野拡大が重要なため、ジョブローテーションが適しています。管理職層には、戦略的思考や組織開発能力の養成が求められるため、外部研修や評価スキルを高める研修などが適しています。

8. 対象者のモチベーション管理をする

育成において、対象者の意欲を維持・向上させることは極めて重要です。意欲が低いと、スキル向上や成長に必要な行動への積極性が失われます。適切な目標設定、定期的なフィードバック、成果の認識と評価を通じて、対象者の成長意欲を高めましょう。

9. 能力開発の期日を決める

スキルの習得や能力向上には、明確な期限設定が効果的です。目指すスキルや達成すべき成果を具体的に定義し、それらを達成するための時間枠を明示しましょう。そうすることで、目標への集中力が高まり、計画的な能力開発が可能となります。

10. 人材育成の各制度を整備する

持続的な人材育成を実現するには、体系的な制度づくりが欠かせません。人事・HR部門は、研修制度・評価制度・キャリア開発制度などの「仕組みづくり」を担い、現場の管理職は、その制度を日々のマネジメントの中で活用・運用する役割を担います。研修制度、評価制度、キャリア開発制度など、育成に関わるさまざまな仕組みを整え、効果的に機能しているかを定期的に見直します。

11. フレームワークを活用する

人材育成では、体系的なフレームワークを活用することで、人事・HR部門は全社的な育成設計を、現場の管理職は日々の目標設定や1on1・評価面談を効果的に行うことができます。例えば、目標設定では、「SMARTの法則」を適用し、明確な指標を設定します。スキル管理には「カッツモデル」を、研修効果の測定には「カークパトリックモデル」を取り入れるなどして、投資対効果の可視化をしましょう(各法則やモデルについての説明は後述します)。

12. 経営戦略・理念に沿った育成を行う

組織の経営方針や理念に合った人材像を明確にし、それに沿った育成を行うことが重要です。それにより、組織の目指す方向性と育成の方向性が一致し、より効果的な人材育成が実現します。また、一貫した方針を持つことで、役職や部署によって異なる要件であっても、育成の軸がぶれません。

13. 責任のある仕事を割り振る

組織と従業員の成長には、挑戦的な業務経験が不可欠です。従業員に適度な自由度と責任を伴う仕事を任せることで、判断力や問題解決能力が養われます。成功も失敗も学びの機会となるため、チャレンジできる環境を整えることが重要です。

14. 経営層と連携する

人材育成を成功させるには、経営層の理解と積極的な関与が重要です。経営層と現場の対話機会を通じて現実的な課題に即した施策を立案し、育成の成果を経営指標と関連付けて評価することで、継続的な支援体制を構築できるでしょう。

階層別、人材育成のポイントは?

人材育成におけるポイントは、人材の階層ごとに異なります。若手層や中堅層、管理職層に分けて解説します。

若手層の人材育成

組織への理解を深め、ビジネスマナーや基本スキルの習得を優先しましょう。自社の経営理念や歴史、組織構造を把握させることで、全体像の理解を促進します。同時にメンタル面のケアも重要で、定期的な面談や気軽なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築していきます。

中堅層の人材育成

組織の中核を担う自覚を促し、育成担当者としての能力向上を図ります。業務への慣れによるマンネリ化を防ぎ、プロジェクトリーダーなどの経験を通じてマネジメントスキルを磨かせることが効果的です。個別面談やジョブローテーションも有効な育成手法となります。

管理職層の人材育成

経営視点の獲得と部下の評価・育成能力の向上が焦点となります。業界動向や経営数値への理解を深め、人事評価制度を適切に運用する力を養いましょう。コミュニケーションスキルの再確認も重要で、外部研修や経営層による研修が効果的です。

人材育成に活用できる5つのフレームワーク

人材育成に活用できるフレームワークは複数あります。ここではベーシック法やカッツモデルの他、5つのフレームワークについて解説します。

1. ベーシック法

ベーシック法とは、人材育成における目標設定を行うフレームワークです。以下の4段階で進められます。

1.目標の設定
2.達成基準の明確化
3.期限を定める
4.達成までの計画を立てる

2. カッツモデル

カッツモデルとは、役職ごとに求められるスキルの割合を示したフレームワークです。このモデルは、3つのスキルと3つの階層で構成されています。各階層ごとに重視すべきスキルを把握する際に役立ちます。

3. SMARTの法則

SMARTの法則は、目標の「質」を評価する際に役立つ枠組みであり、以下の5つの視点を基準として活用されます。

・Specific(具体性)
・Measurable(計量可能)
・Achievable(達成可能)
・Realistic(関連性)
・Time-bound(期限)

4. 思考の6段階モデル

思考の6段階モデルは、人が情報を記憶し、理解を深めながら最終的に創造に至るプロセスを示した枠組みです。人材育成の場面において、指導者やメンターを選定する基準となります。

5. カークパトリックモデル

カークパトリックモデルは、教育の成果を測定するために、効果を以下の4つの段階に分類するフレームワークです

1.reaction(反応)
2.learning(学習)
3.behavior(行動)
4.result(結果)

人材育成に必要なマネジメントスキル

人材を効果的に育成するためには特定のマネジメントスキルが必要です。ここで紹介するスキルは、人事・HR担当者だけでなく、部下を持つすべての管理職・リーダーにも共通して求められるものです。

コミュニケーションスキル

相手と効果的に情報をやり取りする能力です。単に情報を伝えるだけでなく、相手の反応や感情に配慮し、信頼関係を構築する力が含まれます。特に、知識や経験を効果的に教える力や、対話を通じて相手の能力を引き出す力が重要です。

リーダーシップ

周囲に影響を与え、行動を促す対人影響力です。人材育成は協働の取り組みであり、チーム全体を巻き込んで進める必要があります。自らの行動で模範を示し、部下に「この上司についていきたい」と思わせる力がリーダーシップの本質です。

目標管理スキル

自分自身や他者を目標達成に導くスキルです。進捗状況の確認、スケジュール調整、必要なサポート提供などが含まれます。単に目標を設定するだけでなく、達成に向けた道筋を示し、部下のモチベーションを維持する能力も必要です。

部下育成スキル

部下の潜在能力を見出し、成長を促す力です。それぞれの強味と弱味を把握し、適切な指導や機会提供を行うことが重要です。部下が自律的に成果を上げられるよう支援し、ポジティブとネガティブの両面からのフィードバックを適切に行います。

ロジカルシンキング

物事を論理的に整理・分析する思考法です。人材育成の課題を原因と結果に分解し、効果的な解決策を導き出します。育成計画の立案や業績不振の分析など、さまざまな場面で活用できます。

人材育成のよくある課題と解決方法

人材育成を進めていると、さまざまな課題に直面します。ここでは代表的な課題と、その解決策について解説します。

効果測定ができない

人材育成の成果を適切に測定できないと、取り組みの有効性を評価できず、継続的な改善が困難になります。また、投資対効果が見えにくいため、経営層からの理解も得にくくなります。明確な評価基準の設定、定期的なスキル測定テスト、実践的な課題解決能力の評価などが有効です。

人材育成の成果が評価されない

育成の成果が適切に評価されないと、個人のスキル向上が見えにくくなり、育成対象者も育成担当者もモチベーションが維持できなくなります。これは長期的には、人材育成の停滞につながります。この課題解決には、育成目標と連動した評価指標の設定、定期的な評価面談、育成成果の可視化と共有などが重要です。

育成に必要なコストが確保できない

時間や予算などのリソース不足は、多くの組織が直面する課題です。育成担当者が本来の業務に追われ、育成に集中できないケースも少なくありません。解決策としては、経営層への育成投資の重要性の説明、業務の効率化による時間創出、オンライン学習など低コストで実施できる育成手法の導入などが考えられます。

まとめ

人材育成において大切な14のポイントについて解説しました。最高の業績を上げている組織は、常に以下の4つの点を適切に実施しています。

・各階層で優れたリーダーを育成する
・個々人に効果的な習慣を形成する
・包括的で信頼性の高い文化を構築する
・共通の実行システムにより最重要目標を追求する

人材育成や、組織風土の醸成・変革などをご検討中の人事・HR担当者の方、ならびに部下育成に課題を感じている管理職・マネジャーの方は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。

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