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サステナビリティ経営で企業価値を向上|メリットやSDGsとの違い、取り組み事例を紹介

近年「サステナビリティ」という考え方がメディアでしばしば取り上げられています。今日の社会情勢では、サステナビリティは個人の活動だけではなく、企業や組織でも意識するべき重要な考え方です。

本記事では、サステナビリティの意味や、組織の運営にサステナビリティを取り入れる意義、導入事例などを解説します。
サステナブルな経営で、組織の価値を高めたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

サステナビリティとは

サステナビリティは「持続可能性」を意味する言葉です。地球環境や社会制度をより良くする行動や環境などが、長い目で見ても維持できるかどうかを検討する際に用いられます。

サステナブルな組織の運営とは、短期的な利益だけではなく、社会や環境、経済を持続可能な形で発展させられる運営のことをいいます。

サステナビリティと似ている単語

サステナビリティと似た意味を持つ言葉に、SDGsやESG、CSR、エシカルなどがあります。それぞれの言葉について解説します。

SDGsとの違い

SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国際連合によって定められた国際的な目標のことをいいます。

サステナビリティが「持続可能性」という一般的な理念を指すのに対し、SDGsは、サステナビリティを達成するための一つの指針です。SDGsではサステナビリティを達成するために、環境・人権・社会問題などの世界的課題を解決する17の目標と、169の達成基準が設けられています。

ESGとの違い

ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(組織統治)の頭文字をとったビジネス用語です。
主に投資の分野で使われる言葉で、この三つの要素に配慮している組織に対して投資することを「ESG投資」といいます。
ESGもSDGsと同じく、サステナブルな状態を実現するための一手法といえます。

CSRとの違い

CSRは「Corporate Social Responsibility(組織の社会的責任)」を略した言葉で、営利団体が果たすべき社会への責任とそのための社会貢献活動のことです。

CSR活動の一環として、ボランティアや寄付など、サステナブルな社会の構築に貢献する組織も増えてきています。

エシカルとの違い

エシカルは、「道徳上の」「倫理的な」という意味を持つ言葉です。
「エシカルな商品」とは、地球環境や人、動物、社会などに配慮した商品のことをいい、具体的にはフェアトレード食品やヴィーガン食品、オーガニック製品などが該当します。

サステナビリティとも密接な関わりを持つ言葉といえます。

サステナビリティが注目される理由

ここからは、サステナビリティが注目されるようになった背景について解説します。

国連でのSDGsの採択

2015年の9月、国連サミットにおいて全会一致でSDGsが採択され、2030年までに達成する努力目標が各国に課せられました。

SDGs以前にも社会課題の解決を目指すための取り組みは存在しましたが、SDGsはこれまでのどの取り組みよりも大規模かつ組織的です。
これ以降、持続可能な社会を作る緊急性が多くの人々に共有され、サステナブルな社会を作る活動に大きな注目が集まるようになりました。

投資家に対する国連からの要求

2006年、国連が投資家に対してESG投資を求めたことも、経済界にとって大きなターニングポイントでした。
これを受けて投資家は、環境問題や社会問題に配慮して活動する組織に対して積極的に投資するようになりました。組織がサステナビリティに取り組む経済的メリットが生まれたといえます。

なお、2018年の時点でESG投資の世界総額は30.7兆ドルに拡大し、投資市場の約3分の1を占めるほどになっています。

取り組まないことで生じるリスク

アップル社などの大手企業は、サステナブルな活動に取り組まない組織との取引を取りやめる動きを見せています。
この結果、この活動に対応できない中小企業がサプライチェーンから排除され、大きな経済的損失を被るリスクが生まれました。

売り上げを維持するためにも、サステナブルな経営に乗り出す組織は年々増えてきています。

サステナビリティの「3E」とは

 

サステナビリティでは、環境(Environment)と経済(Economy)、そして社会の公平性(Equity)が全て持続可能であることも重視されます。この三つは「3E」と呼ばれています。

Environment(環境)

経済や社会を持続可能なものとするためには、地球環境が守られていなければなりません。

地球環境を守るため検討する事項としては、水資源やエネルギー不足、大気汚染、気候変動、森林破壊などがあります。

Economy(経済)

2008年に起こったリーマンショック以降、環境問題や社会の平等を無視し、経済成長を重視する組織の態度に、大きな批判が寄せられるようになりました。

この反省から近年では、環境や平等性に配慮しつつも、経済的な発展を実現する方法が模索されています。

Equity(公平性)

一部の先進国やマジョリティだけが優遇される社会は、将来的には持続可能だとはいえません。このためサステナビリティの理念においては、不平等のない社会作りが求められています。

貧困や差別がなくなることで、飢餓や不十分な教育などのリスクも減少するため、社会全体が豊かになることが分かっています。

サステナビリティを導入するメリット・経営への影響

 

組織がサステナブルな活動を事業に取り入れることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

組織のブランディングや市場開拓

SDGsなどの言葉が一般に広く普及したこともあり、サステナブルな取り組みには多くの人々がポジティブなイメージを持っています。

サステナブル経営を取り入れることで、取引先や地域住民、行政などのステークホルダーからの評価が高くなり、新たな事業や市場開拓につながることが期待できます。

従業員のモチベーション向上

サステナブルな活動に取り組むことで、職場での待遇改善や差別解消、企業のブランド・イメージ向上につながります。
この結果、従業員は組織に対して満足度やモチベーションを高めることが予想されます。

離職率の低下や優秀な人材の確保など、業績の増加につながるメリットが生まれるといえるでしょう。

経営リスクの軽減

地球環境の持続可能性を考慮せずに経営を続けることで、資源の枯渇や生態系の変化をもたらすリスクが生まれます。
また、投資家から投資を敬遠されてしまうこともあるかもしれません。

10年、20年先を見据えた経営を考える上で、サステナブルな経営は必要不可欠といえます。

コストの低減

持続可能な地球環境を維持するための省エネやリサイクル、業務効率化は、コスト削減につながります。

また、サステナブルな経営を進めるためには、これまでにない生産や流通などの手法を生み出す必要があります。この過程で、大きなコスト削減の手法が編み出される可能性は大いにあるでしょう。

サステナビリティの指標

組織がサステナブルな活動にどの程度取り組んでいるかを表す具体的な指標に、GRIスタンダードとDJSIの二つがあります。この二つについて詳しく解説します。

GRIスタンダード

GRIスタンダードは、国連環境計画(UNEP)の公認団体であるGRIが作成したフレームワークのことをいいます。
組織がサステナビリティへの貢献度合いを説明するために利用され、経済、環境、社会に与える影響を報告します。

DJSI

DJSI(Dow Jones Sustainability Indices)は格付けの一種です。
世界の主要企業のうち、サステナブルの観点から優れている企業を選定し、投資家向けに公開しています。

ESG投資に使われる指数としては最も知名度が高く、また歴史も古いものの一つで、日本では伊藤忠商事や花王、NTTデータなどの39社が選定されています。

サステナビリティの導入事例

ここからは、サステナブルな活動を実践している日本の企業を6つ紹介します。

キッコーマン株式会社

キッコーマン株式会社は、自社製品の製造過程で発生する副産物(しょうゆかす、しょうゆ油、果実の搾汁残さ、おからなど)を、牛や豚、鶏などの飼料として提供しています。
飼料の研究から設備、販路の拡大まで全て自社で取り組み、食品ロスの削減を目指しています。

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、子どもたちが健やかな食習慣を送るための体験プログラム「カルビー・スナックスクール」「朝ハロしよ!教室」を運営しています。
商品のパッケージ表示の見方や栄養素などについて伝えることで、食に対して能動的に考える姿勢を育んでいます。

旭化成株式会社

総合化学メーカーの旭化成株式会社は、サステナブルな取り組みとして「IoT防災情報システムLONGLIFE AEDGiS」を開発しています。

これは地震発生後、建物の被害レベルや地域の液状化発生状況を推定するもので、暮らしの安全性を高めるねらいがあります。

KDDI株式会社

KDDI株式会社は、2050年までのCO2排出量実質ゼロを目指しており、再生可能エネルギーへのシフトを推進しています。
たとえば、一般ユーザー向けに「auでんき ecoプラン」を開始したり、電気料金の2パーセントを環境保全活動に寄付したりするなどの具体的な活動を展開しています。

TOTO株式会社

TOTO株式会社は、水に関わる事業や団体を助成する「TOTO水環境基金」を運営しています。
2005年から2021年までで292団体に助成を実施し、助成総額は4億1000万円以上にのぼります。
地域社会の発展や、地球環境の保護に根ざした活動を応援する意図があり、サステナブルな社会の実現に貢献しています。

株式会社名古屋銀行

株式会社名古屋銀行は、投資ファンド「日本モノづくり未来投資事業有限責任組合」に出資をし、優れた技術や人材、サービスを持つモノづくり組織の支援をしています。

優れた組織の経営をサポートすることで、持続可能な社会の構築に貢献するねらいがあります。

まとめ

サステナブルな経営を導入することは、今やこの社会で生きる私たち全員にとっての必須課題ともいえます。
サステナブルな経営を導入する方法には、自社で商品やサービスを開発したり、組織の運営方法を見直したりするほか、他の組織や団体に寄付・出資するなど、さまざまな方法があります。

サステナブルな経営施策を計画するだけでなく、組織内で着実に実行し、業績向上につなげたいとお考えなら、ぜひフランクリン・コヴィー・ジャパンにご相談ください。

パフォーマンスのよい組織の共通点には以下のようなものがあります。

● 各階層で優れたリーダーを育成する
● 個々人に効果的な習慣を形成する
● 包括的で信頼性の高い文化を構築する
● 共通の実行システムにより最重要目標を追求する

これらを実現するためのさまざまな組織開発・人材育成サービスの提供を通した組織の支援をフランクリン・コヴィー・ジャパンは行っています。

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