ティール組織とは?4つの組織モデルとの違いや実現に必要な要素・国内外の事例を解説

ティール組織とは、権力を1箇所に集中させなくても、1人ひとりが目的のために成長できる組織のことです。従来の会社経営で「当たり前」とされた価値観や慣例を撤廃した組織モデルとも言えます。この記事では、ティール組織の概要や誕生のきっかけ、その他の組織モデルについて解説します。

ティール組織とは?

ティール組織とは、自主的に目的へ向かう組織モデルのことです。本章ではティール組織が生まれたきっかけやよくある誤解など、ティール組織の詳細を解説します。

自主的に目的へ向かう組織モデル

ティール組織とは、社長や役員などに権力を集中させなくとも、目的のために成長できる組織のことです。従業員それぞれが意思決定権を持ち、1人ひとりが自らの意思で目的の実現を目指す組織です。そのため、ティール組織は階級や役職によるマネジメントを撤廃しています。

他にも、予算・売上の目標設定や定期的なミーティングなど、これまで「当たり前」とされていた慣例がありません。

ティール組織が生まれたきっかけ

ティール組織という概念は、2014年にフレデリック・ラルー氏が執筆した『Reinventing Organizations』にはじめて登場しました。ラルー氏は長年にわたり組織改革のプロジェクトに携わってきた経験豊富な人物であり、世界各地の組織を対象に幅広い調査を行い、新しい組織モデルに関する考察を同書にまとめました。

日本では、2018年に「ティール組織」として邦訳版が刊行され、日本のビジネス市場でも新しい組織モデルとして注目されるようになりました。

ティール組織でよくある誤解

ティール組織には明確なモデルがあると誤解されがちですが、実際には決まったモデルを示すものではありません。フレデリック・ラルー氏は世界中の企業を調査する過程で、グリーン組織(次章で解説)以前のいずれのモデルにも該当しない企業を複数発見しました。

そこに幾つかの共通点を見出したことで「ティール組織」と名付けたそうです。共通点はあるものの、明確なモデルがあるわけではありません。

ティール組織に進化するまでの組織モデルの4段階

ティール組織に進化するまでには、レッド、アンバー、オレンジ、グリーンの4段階を経ます。各段階について解説します。

1.レッド組織(衝動型)

レッド組織は「衝動型」と見なされる、最も原始的な組織モデルです。唯一の「圧倒的な力を持つ者」が支配者となり、組織を運営します。継続的な組織運営よりも、衝動的で即時の利益を追求する傾向があります。

2.アンバー組織(順応型)

アンバー組織は、明確な階層構造(ヒエラルキー)を持つ組織モデルです。「アンバー」という言葉は、琥珀色を指す意味で用いられます。階級や制度が取り入れられており、メンバーの相対的な位置づけによって秩序が維持されています。トップダウンの指示により、規則に従った安定した組織運営が行われる特徴があります。

3.オレンジ組織(達成型)

オレンジ組織は、依然としてヒエラルキーが存在しますが、社会や環境の変化に柔軟に対応できる組織モデルです。メンバーは能力を活かし、成果を上げることで昇進できるため、達成型組織としても知られています。

4.グリーン組織(多元型)

オレンジ組織が主に目標達成を重視する一方で、グリーン組織はメンバーの主体性を尊重し、自発的な行動を奨励する組織です。グリーン組織では、意思決定プロセスが基本的にボトムアップの形式で行われます。

グリーン組織のリーダーは、メンバーが働きやすい環境を整える役割を果たします。しかし、組織全体の決定権は依然としてマネジメント側にあります。

プロジェクト業務は「オレンジ組織」が多い

日本においても、プロジェクト型の業務では、オレンジ組織が多い傾向にあります。ここでは、オレンジ組織の特徴を深掘り、危険性についても解説します。

オレンジ組織の特徴

プロジェクト型の業務においては、リーダーは固定的ではなく、プロジェクトごとに任命される流動的な権限を持つことが特徴です。

それにともない、プロジェクトごとに小さな組織が形成されます。メンバーは組織のルールに従うだけでなく、能力や才能を発揮し成果を上げることが求められるでしょう。

オレンジ組織の危険性

オレンジ組織は、柔軟性と対応力を兼ね備えているのが特徴です。しかし、成果第一の追求は過重労働を招きます。過重労働が「人間らしさ」を失わせ、社会問題となってきた日本において、働き方改革の必要性が問われる組織モデルといえます。

ティール組織の実現に必要な要素

ティール組織を実現させるために必要な要素は3つあります。それぞれについて解説します。

セルフマネジメント(自主経営)

セルフマネジメント(自主経営)は、各メンバーに裁量が与えられ、意思決定権を持つ状態です。ただ「自己責任」とするのではなく、組織の情報がメンバーに開示される、意思決定のために助言を得られる仕組みを整えておきましょう。

助言者は可能性やリスクを考慮しつつ、裁量権はメンバー個人にあり、判断が尊重されます。

エボリューショナリーパーパス(進化の目的)

エボリューショナリーパーパス(進化の目的)は、組織の存在理由を指します。メンバー全員が組織の存在理由を理解し、追求することが大切です。なおティール組織の存在理由は、環境変化に応じて進化するとされています。

ホールネス(全体性)

ティール組織の要素には、ホールネス(全体性)が必要です。ホールネスとは、組織のメンバーがありのままの姿で、精神的に安心していられる状態を指します。組織がホールネスを実現させるためには、メンバーそれぞれの多様性が尊重され、否定されない環境が不可欠です。心理的安全性を確保し、個性や才能が評価されやすい環境を目指しましょう。

ティール組織を目指す組織の課題

ティール組織を目指す際には、いくつかの課題があります。ここで1つずつ解説します。

フラットに対話できる環境作り

ティール組織の実現に必要な要素は、セルフマネジメント、エボリューショナリーパーパス、ホールネスです。そして、これらの全てに共通する重要なポイントは「対話によるコミュニケーション」になります。フラットで活発なコミュニケーションが図れる環境作りが必要です。

多角的な視点を持つ

ティール組織においては、全員が主体者として行動することが基本です。特定のメンバーによる偏ったバイアス(偏見や先入観)は、組織の機能を阻害する可能性があります。そのため、経営層は多角的な視点を持ち、転換を促進する必要があります。外部の専門家やコーチを活用し、客観的な意見を取り入れることが有効です。

小さな取り組みから始める

組織変革は全体を一度に動かすのではなく、小さな部分から始めるべきです。現状の課題を洗い出し、ボトルネックを冷静に分析しましょう。ピンポイントで変えるべき課題を特定し、小規模な取り組みで実行と検証を行います。成功体験を積み重ねながら変革を全体に広げていきましょう。

変化を恐れない

ティール組織を目指すには、現状から脱却し新たな組織を作る力が必要です。既存のシステムや階層構造を大胆に壊す必要があるかもしれません。変化することを避けていては、ティール組織実現は困難です。変革には反発や問題が生じるリスクがつきものですが、経営層もその覚悟を持つ必要があります。

日本企業におけるティール組織の事例

日本企業にはオレンジ組織が多く見られますが、ティール組織を実現させている企業もあります。ここで3社の例を見ていきましょう。

株式会社ネットプロテクションズ

株式会社ネットプロテクションズは「NP後払い」という商品後払いの決済サービスを提供している企業です。自律・分散・協調をテーマとしたティール組織であり、従業員の自己実現と社会発展を両立させる風土を持ちます。

なかでも「Natura」という人事評価制度が特徴的です。報酬よりも人材育成・成長支援にシフトした評価制度であり、「競争」ではなく「共創」の文化を推進しています。

オズビジョン社

オズビジョン社は「ティール組織」の著書で唯一紹介された国内企業です。ハピタスを含む複数のWebサイト・サービスを運営するベンチャー企業であり、「人の幸せに貢献し、自己実現する集団で在る」をコンセプトに掲げています。

ティール組織としての取り組みは「Thanks day」と「Good or New」の2つです。前者は、感謝の日であり、1日休暇と現金2万円支給します。後者は、朝の少人数ミーティングでメンバーの長所や24時間以内のニュースを発表していましたが、現在は廃止されています。

アズワン株式会社

アズワン株式会社は三重県鈴鹿市に本社を構える企業です。主力事業は「おふくろさん弁当」の製造・販売です。事業領域は、人材のアウトソーシング、食品リサイクル、農業など多岐に渡ります。ティール組織として同社が行った主な取り組みは、以下のとおりです。

・社長という肩書きはありつつ、社長係として対外的な対応をするのみ
・常に話し合いで意思決定を行う
・メンバー全員が経営者感覚で働く
・失敗に寛容な企業風土の形成
・労働時間やシフトは自由に組み立てる

国外企業におけるティール組織の事例

国外企業には多くのティール組織があります。数ある企業のなかで、ここではパタゴニア社とザ・モーニング・スター・カンパニーの取り組みを紹介します。

パタゴニア社

パタゴニア社はカリフォルニア州に本社を置く企業です。アウトドア・サーフィン用品の製造・販売を行っています。環境に配慮した製品・取り組みで高い評価を受けています。最近では、ティール組織の独特な組織運営方法にも注目が集まっています。例えば、以下のような取り組みを行っています。

・支店の多くを海岸沿いに配置
・従業員がいつでもサーフィンに行ける経営哲学
・同社の役職はリーダー層、マネージャー層、プレイヤーの3つ

ザ・モーニング・スター・カンパニー

ザ・モーニング・スター・カンパニーはアメリカ、カリフォルニア州に本社を置く、トマト加工の世界最大手企業です。全米のケチャップやトマトソース市場で30%以上のシェアを獲得しています。ティール組織による、独自の運営体制が成功の要因とされており、具体的な以下のような取り組みを行っています。

・地位に伴う昇進・肩書きはない
・全従業員がマネージャー権限・決裁権限がある
・給与、報酬などをメンバー間で評価し、決定する

まとめ

ティール組織とは、従業員に社長や部長などの役職をつけなくても、組織全体が目的に向かって前進する組織です。1人ひとりが決裁権を持つことで、責任能力の高いメンバーを育成できます。

まずはあなたの組織が組織モデルのどの段階にあるのか、まわりの人たちと議論するところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

最高の業績を上げている組織は、常に以下の4つの点を適切に実施しています。

・各階層で優れたリーダーを育成する
・個々人に効果的な習慣を形成する
・包括的で信頼性の高い文化を構築する
・共通の実行システムにより最重要目標を追求する

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7. 優れたリーダーを育成する「リーダーのための4つの本質的な役割」
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