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部下の心の不調を察知した管理職や仲間がとるべき態度

精神衛生、精神的健康を意味する「メンタルヘルス」。
2015年12月のストレスチェック制度施行後、多くの企業がメンタルヘルス対策に力を注いでいる。

 

厚生労働省が実施している「平成28年 労働安全衛生調査(実態調査)」を見てみよう。
仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事項がある労働者の割合は59.5%にものぼるという。

 

強いストレスの内容(3つ以内の複数回答)をみると、「仕事の質・量」が 53.8%と最も多い。
次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が 38.5%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が 30.5%と なっている。

 

職場では、心の不調を訴える社員をケアしていかなければいけない。
しかし、部下の不調を感じた管理職や仲間もまた、対応方法が分からず悩みを抱える傾向にある。

 

そこで今回は、スティーブン・R・コヴィー博士が著書『7つの習慣』の中で説いている「愛の法則と人生の法則」を紹介したい。

何の見返りも求めず本心から無条件で愛することによって、相手は安心感を得、心が安定する。自分自身の本質的な価値、アイデンティティ、誠実さが肯定され、認められたと感じるのだ。無条件の愛を受けることによって自然な成長が促され、人生の法則(協力・貢献・自制・誠実)に従って生き、自分の中に潜在する大きな可能性を発見し、それを発揮できるようになる。人を無条件で愛するというのは、相手がこちらの状況や制限に反応するのではなく、自分の内面から沸き起こる意欲に従って行動する自由を相手に与えることだ。

 

前述の調査の中で強いストレスの内容としてあげられていた「仕事の量」を例に考えてみよう。
大量の仕事をスピード良くさばく人だけを上司が可愛がると、それができない人は防衛的な立場に追い込まれる。すると、「自分が価値のない人間」「貢献していない」と感じてしまう。
その結果、自己主張と自分の権利を守ることだけを考え始めるのだ。
そして、上司や周りの人間が敵に見えてくるようになってしまう。

 

何も甘やかすことを勧めているわけではない。

ストレスを感じている部下に対して、抽象的な目標や達成不可能な目標を掲げるのは逆効果になる場合がある。
期待値を明確にし、相談役になり、守り、無条件に大切にしてほしいのだ。

 

最後にコヴィー博士がコンサルタントとして長く働き、多くの組織と関わる中で、何度も重みをかみしめたという言葉を贈りたい。

国連事務総長だった故ダグ・ハマーショルド氏の言葉だ。
「大勢の人を救おうと一生懸命に働くよりも、一人の人のために自分のすべてを捧げるほうが尊い」

多くの部下を抱える管理職のみなさんは、上司、部下、社外の人間など大勢の人間のために動こうとするかもしれない。
しかし、一度立ち止まって考えてみてほしい。人と人が結束し力を発揮するためには、一人の人間との関係をしっかりと築ける人格が必要なのである。

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