インタビュー:2013.7.25 佐藤亙

卓越した生産性を目指す研修プログラム
「5つの選択」講師インタビュー 2013.7.25

フランクリン・コヴィー・ジャパンの研修プログラム「5つの選択」は、情報化社会・知識社会において、卓越した生産性を実現するためのパーソナルマネジメント・プログラムです。今回は「5つの選択」の日本語版開発を手掛け、担当講師も務める弊社副社長の佐藤亙(さとうわたる)に本プログラムの開発経緯やコンテンツについてインタビューを致しました。

―「5つの選択」はどのような狙いで開発されたのかを教えてください。

佐藤「まず、プロダクティビティ(生産性)がこのセミナーのキーワードですね。これは知識労働者にとっては必須のコンピテンスです。フランクリン・コヴィーでは、これまでの経験や実績からも得意な分野の一つになりますので、それこそ本領を発揮したということなのだと思います。生産性向上というと、よく時間管理やタスク管理と同等に捉えられがちですが、それらの概念とは少し一線を画しています。生産性とは一般的に、インプット分のアウトプットの度合いで測られますが我々が目指しているのは時間やタスクを減らすためのインプット管理というよりは、むしろアウトプットの付加価値を高めることであり、そこに力点を置いたのがこのセミナーになりますね。実はそういう見方ができている人は意外に多くないのです。」

―知識労働者のアウトプットをどのようにイメージしていますか?

佐藤「例えば二人の営業マンがいるとして、同じようなお客様や案件を担当していても、それぞれが出すアウトプットやパフォーマンスが違ってくる場合、それは知識労働者の特徴に理由があります。一体何が違うのかということですが、、、当然持っている知識やスキルが違いながらも、多くの場合、考え方や判断そのものに差があります。自分の責任で、物事をどう捉えて、どう選択するのかということが実はパフォーマンスを決める大きな要因になっています。不景気やお客様の数など、諸々の条件が悪いから売上が上がらないんだというふうに決めつけたがりますが、それよりももっと自分自身の考えをどう「選択」しているかを見直しましょうというメッセージを出しています。」

―知識労働者における生産性をどう捉えますか?

佐藤「前述したように生産性はアウトプットが重要です。タスクをこなすだけの人にはいわゆるアウトプットの定義があるので、いつまでに何をどれくらいやれば良いのかが決められていますが、知識労働者にはこれでいいという合格点がありません。つまり、生産性には無限の可能性があるので、そのアウトプットの付加価値をできるだけ上げる考え方を紹介しています。

―「5つの選択」の特徴を3つ教えてください。

佐藤「1つ目はアウトプット志向であることですね。このセミナーでは、緊急ではなく重要軸に基づいて行動するという第1の選択から始まります。そして、重要でありながらも、自分が望む卓越したアウトプットとは何かを定義し直しましょうというのが第2の選択。それを実現していくための第3〜5の選択と続いていきます。単に手段を改善するノウハウを学ぶのではなく、アウトプット志向という軸が1本通っています。

2つ目の特徴としてそれに付随した考え方になりますが、時間やプロセスではなく、時間とエネルギーにフォーカスしている点ですね。ここで言うエネルギーは単に体力的なものではなく、知力、精神力、感受性のように自分が持てる全てのエネルギーのことを指しています。知識労働者というのは自分の持てる力を最大限に活かす仕事であり、それを実現する存在なんだなということが改めて理解できると思います。また、これはフランクリン・コヴィーのセミナー全般に共通しているテーマですが、仕事とプライベートは相互にリンクしているので、両方上手くバランスを取ってこそ初めて生産性が上がります。

3つ目の特徴は、現代ならではの労働環境や条件によりフィットした考え方、スキル、ツールが準備されているということです。例えば、セミナーの中で脳科学の話を紹介しますが、これは現代のテクノロジーの発展による情報過多、複雑化が脳に与える影響について考えます。環境の変化があったからこそ、それに適応する考え方をブラッシュアップしましょう、という部分ですね。」

 

―「5つの選択」でご案内する映像ツールの特徴は?

佐藤「『選択の科学』の著者であるコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授など、著名な専門家のインタビューを含んでいる点が新しいですね。今まではドラマ仕立てであるかコヴィー博士が出てくるかという構成が多かったのですが、今回「5つの選択」の中では多くの専門家の意見を取り入れています。例えば、何を食べると脳に良いのか、睡眠の質を上げることがなぜ脳に良いのか、というように幅広い内容を扱っています。」

―業種や職種、階層などお薦めしたいターゲットはありますか?

佐藤「自分の工夫、努力によってアウトプットの付加価値が変化する立場の人であれば、全ての方が対象です。」

―参加前と後では、参加者にどのような気付きや変化が見られますか?

佐藤「まずは自分が選択できるということに気付くこと。だからこそより賢い選択をしなければアウトプットの付加価値は高まらないということに気付いてもらうことでしょうか。セミナー後によく聞くのは、自分は何が欲しいのかということさえ分かっていなかったという事実に気付きました、というコメントです。この気付きは第2の選択で得られるものですが、仕事にしてもプライベートにしても自分の役割を見直すことで、自分が本当に得たいもの、つまりアウトプットの付加価値を再定義するわけです。今までは自分が本当の意味でどのような役割を担っているのかが腹落ちしていなかったので、何をアウトプットとして生み出すのかということを考えたこともなければ、認識さえしていなかったという気付きが得られます。自分が欲しいものが分かっていないのにアウトプットなんて得られるわけがない、これはやはりしっかり考え直さければいけない、探求しなければいけない、この気付はとても大きなインパクトを与えます。」

―研修終了後に自分自身を振り返るために、どのようなツールが付いていますか?

佐藤「一つにはモノグラフブックというコンテンツを要約した副読本があります。これでコンテンツ自体の振り返りができます。また、補足として3つのサブテーマについて学べるビデオ教材と副読本が付いています。それから演習の中で使用した各種ワークシートがソフトファイルでも付いてくるので、これをセミナー後に自分で使い、コンテンツを実践したり、学び直したりすることができます。あとはテクニカルガイド。現代のテクノロジーにもフォーカスを当てているので、Microsoft Outlook(※1)Google Apps(※2)やLotus Notes(※3)などのテクノロジーツールを「5つの選択」の考え方を使って応用するにはどうしたらいいかをガイドブックで説明しています。

―なぜ今、インプットよりもアウトプットの付加価値を高める点にフォーカスすることが大事なのでしょう?

佐藤「それ自体がまず本人の選択だと思います。誰かが作ったシナリオに従って、黙々とタスクをこなす「ザ・サラリーマン」で満足するのであれば、それはそれで良いですし、時間とお金をかけてセミナーを受ける必要はないわけです。しかし、本当は何かを成し遂げたいという本心を多くの人は持っています。つまり皆、本音の部分ではアウトプット志向でありながらも、実際の行動が伴っていないことにジレンマを感じているのではないでしょうか。「こんなに残業続きで大変なんです、セミナー受けたら変わりますか?」と言う人が、時間管理やタスク管理セミナーを受けたら確かに変わるかも知れません。しかしそれはあくまでも手段であって、目的ではありません。私たちがビジネスをする目的は、生み出すアウトプットの付加価値を高めることにあるわけで、「5つの選択」セミナーでは、そのための考えや行動を変えてもらうこと自体のお手伝いができればと思います。」

―受講者に期待する姿、受けた後にこうなってもらいたいというものはありますか?

佐藤「変革する、ことですね。自分の役割を違う角度から捉えることで本質を見出してもらいたいです。セミナーの中では進行時間の関係上、幾つかある自分の大切な役割の1つしか取り上げられませんが、セミナーが終わってからこそ、自分の役割を一つひとつ見直し変革することで、最高のパフォーマンスを上げるための本質的な目的を見出していってもらいたいですね。」

―「5つの選択」のコンテンツを実践できているロールモデルになるような方はいますか?

佐藤「一流の人は皆がそうだと思います。セミナーで伝えているように、要はQ2(緊急ではないが重要な事柄)にフォーカスできる人というのは、そのために投資した時間とエネルギーに対するリターンが一番大きいです。いわゆる世の中で成功している人達は自分が得たい、あるいは得るべきリターンをしっかり見定めて行動しているので、Q1(緊急かつ重要な事柄)やQ3(緊急だが重要ではない事柄)に振り回される必要はありません。試合前の数時間だけ猛練習しているイチローなんて想像できないですよね。試合があってもなくてもずっとコンスタントに練習し続けているのがプロですし、オフシーズンでもあっても身体やメンタルのコンディションに気をつけて時間とエネルギーを投資している人が一流の人の共通項です、つまり付加価値の高いアウトプットを出している人は必ずQ2にフォーカスした考え方あるいは生活をしているのだと思います。

―日々、ルーチンワークをしていて、自分はクリエイティビティが求められるような仕事ではないと感じている人でもこのコンテンツは活かせるのでしょうか?

佐藤「自分がそのように捉えていること自体も選択ですね。例えばオペレーション的な役割を表面的な印象だけでルーチンワークだと捉えてしまっていますが、、、本当にそうですか?と問われた時に、違う役割の捉え方をする選択ができれば働き方も変わってきます。 例えばコールセンターのオペレーションをしている人が違う角度から自分の役割を捉えた時に、今までは問い合わせを捌くのが仕事だと思っていたけれど、「いやそうじゃない、自分の本当の役割はヒントを得る場所、あるいは問題を未然に予防する仕事なんだ」と気がついた時、自分が受ける問い合わせやクレームを分類し、マーケティング部門に共有して商品開発に活かすなどということができるようになります。別の人が同じような仕事をしながらも、アウトプットはまるで同じという仕事なんてそうそう世の中には無いと思います。知識労働者なんですから、まだ何かしら工夫できるはずですよね、そんな問いかけをいつもしています。」

―佐藤さん自身はどうですか?

佐藤「このコンテンツを意識するにようになって、やはりさらにQ2(緊急ではないが重要な事柄)にフォーカスするようになりました。どれだけ付加価値の高いアウトプットを出せているかを考えられるようになると、緊急性ではなく重要性で判断するようになるため、Q1(緊急かつ重要な事柄)やQ3(緊急だが重要ではない事柄)の見極めが、さらに意識してできるようになってきます。もちろんそれらをゼロにするのは容易ではないのですが、Q2になるべく多くの時間とエネルギーを投資できるよう努力しています。それと、自分が果たす役割の本質を見出す(Q2役割の変革)というのはどこまでも限りがないと思うので、これは常に意識しています。そのためにも、いつも自分が本来出したい、出せるはずの付加価値は何だろうかと自問し続けていますね。」

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※1)Windows版のMicrosoft Officeの一部として含まれている個人情報管理 (PIM) ソフトウェアであり、電子メール機能の他、予定表・連絡先管理・仕事管理・メモなどの機能が実装されている。Outlookは米国Microsoft社の登録商標です。 ※2)独自ドメインでGmailをはじめとするいくつかのGoogleプロダクトを使えるようにする企業向けのサービス。Google Appsは、Google Inc.の登録商標または商標です。 ※3)IBMが開発・販売しているグループウェア用ミドルウェア。Lotus Notes®は、米国IBM Corporationの米国及びその他の国における商標または登録商標です。

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