インタビュー:田路 和也 氏(前半)

前半:米国の営業研修で3年連続トップ20選出
「ヘルピング・クライアンツ・サクシード」
講師インタビュー 2013.9.27

フランクリン・コヴィー・ジャパンの研修プログラム「ヘルピング・クライアンツ・サクシード」(以下、HCS)は、営業場面において、揺るぎない信頼をベースに、クライアントの成功を支援する真のパートナーになるためのセールス・トレーニング・プログラムです。今回は講師を務める田路和也氏に本プログラムについてインタビューを致しました。前半と後半に分けた2部構成でお伝えいたします。

―「HCS」と出会ったきっかけは?

田路「前職時代に、「7つの習慣」や「プライオリティ」を受講していて、自分のキャリアや人生そのものを大きく変える機会となっていたので、フランクリン・コヴィーのファンだったんです。それを知った当時の上司からHCSの受講を薦められたのが最初のきっかけです。自分自身が営業として大事にしていること、世の中に伝えていきたいと思っていることの、8割ぐらいが既にHCSにコンテンツとして完成されていると感じました。」

―様々な会社でセミナーを実施されていますが、どのような業種が多いですか?

田路「一番多いのはIT系です。次に、メーカーの方ですね。」

―HCSのコンテンツの内容から、受講を推奨する業種や対象層はどのように考えてますか?

田路「HCSは、営業としての原理原則を学ぶ研修ですので、BtoB(法人企業向け)のビジネスをしている企業の営業担当であれば、業種は特に問いません。よくお客様からも、対象の年齢層とか営業経験はどれくらいがいいのかと良く聞かれますが、どちらかというと入社3〜15年くらいの中堅社員が良いと思います。営業経験が長くて、いろんな成功・失敗体験を積み重ねながら、果たして自分の営業スタイルはこれで正しいのだろうかと漠然とした不安を持っている方のほうが対象としてはいいかもしれません。HCSを受講した時に、「モヤモヤしたものが急に晴れた」「営業活動に対してモチベーションが上がった」という感想をいただくことが多いです。実際、平均営業経験年数20年という方々を対象にセミナーを一度実施させていただいたことがあるのですが、アンケートの結果はその回が一番絶賛されていたくらいです。もっと早く出会えれば良かったという感想も多いですね。」

―受講する前と後で、受講者から具体的にどのような感想を聞かれますか?

田路「感想として必ず出るのは、無意識にやっていたことが言語化できるので、その後、意識的にやれるようになる、意識的にやれるということは継続的に再現性高く実践できるということに繋がりますよね。たまたまできた、たまたまできなかった、ということではなく、こういう理由でうまくいった、うまくいかなかったということが自分の中で整理ができるので、次の営業場面で意識的に実践できるようになります。それが再現性と継続性をもたらすので、その点は他社の研修との大きな違いです。他社の営業研修は、ロールプレイをひたすら続け、お客様からこう言われたらこう返すといった、応酬話法テクニックに終始してしまうことが多いです。それだとその場では分かった気になっても、実際の商談でロールプレイと全く同じ状況や場面が目の前に現れるかというと、そんなこと殆どありません。ですので、受講者からは、実践度が高い、継続性がある、自分の中でモヤモヤしたものが整理できるなど、そういう声が圧倒的に多いのだと思います。

あとは個人的なメッセージとしていつも伝えているのは、「この研修を営業研修だと思わないでください」ということです。「営業場面だけで使うテクニックとして、このテクニックを持ち帰らないでください」と。普段プライベートでできないことを、営業場面で実践しようとするのは難易度が高過ぎます。そもそもテクニックだけでお客様の心を動かすことなんてできません。ですから、営業研修ではなく、自分の人間力を磨く場だと思って取り組んでくださいとお伝えしています。セミナーで学ぶ『信頼の基本原則』は、普段からできることばかりなので、毎日意識してやっていればお客様の前でも自然とできるはずです。プライベートから意識することで日々の行動が変わり、行動が変わることで習慣化される。

多くの受講者の方は、営業研修に対して、営業のテクニックを知りたいと期待し、参加されるので、ある意味そこからはこの研修は期待外れかもしれないですね。しかし、2日間を通じ、テクニックだけを持ち帰ったとしても、お客様との信頼関係がなかったらテクニックを使う機会さえ得られないわけで、テクニックだけでは意味ないんだなということも腹落ちするので、受講者満足が非常に高いのだと思います。当初期待していたこととは違っていたけれど、結果的にはこっちの方が良かったと言ってもらえることが多いですね。セミナー初日に、お客様から信頼されるために何が必要かをじっくり考え、学んだ上で、2日目にヒアリングのテクニックを中心に進めていきます。」

―やっぱり営業活動では信頼が一番大事?

田路「そうですね。そこが土台の部分。お客様との信頼関係がないことには、どんなに効果的な質問のテクニックを持っていたとしても、どんなに効果的なプレゼンテーションスキルがあったとしても、そのスキルは宝の持ち腐れに終わります。おそらくプレゼンテーションの機会さえもらえないでしょう。WindowsというOSがインストールされてないと、ワード、エクセル、パワーポイントといったアプリケーションは動きませんよね。信頼がOSとすれば、質問やプレゼンのテクニックはアプリケーションだと言えますね」

―既にお客様からも社内からも信頼され、それなりに営業成果も出している方でも受ける価値はありますか?

田路「あります。プレーヤーとして優秀でも自分のことを客観視できてない人は多いと思います。だからこそ「名プレイヤー、名監督にあらず」という言葉があるのだと思います。プレーヤーとして優秀でも、自分が何で売れているのか感覚的にしか分かっていない人は、自分と同じような優秀なプレイヤーを育てられないと思います。自分は感覚的なセンスでできるのだけれど、部下に対して具体的に教えることができないのは、自分を客観視して、なぜ自分が売れたのか、どのようにすることがお客さんにとって効果的なのか、言語化ができていない、意識化できていないというのが原因だと思います。私の経験上、優秀なプレイヤーの方でも8割は無自覚なままの営業を行っていると思います。また、この人はすごく優秀だなと思う人ほど、自分の今までやってきた営業経験の棚卸しができました、と謙虚に前向きに受け止め、次のステップに活かして頂いています。」

―そういった意味では営業マネージャーも受けた方が?

田路「営業マネージャーこそ受けた方が良いと思いますね。原理原則は、マネジメントツールになります。原理原則を組織の共通言語とすることで、部下の意識変革・行動変革を継続させ、定着化が図れます。そのためにもまず、マネージャーが原理原則を理解しておく必要があると思います。」

―セミナー2日間ではどんなことを学ぶのか教えてください。

田路「セミナー初日は『信頼の基本原則』というものを中心に行います。営業は、お客様だけでなく、社内の協働関係者とも信頼関係を構築する必要がありますよね。営業として大きな成果をあげるためには、社内のリソースを最大限使える状態でなければなりません。初日は、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を構築するための原理原則を、ほぼ1日かけてやります。また、プロダクトアウトのセールスとソリューションアプローチのセールスの違いにも触れ、なぜ今の時代このプロダクトアウトだと厳しいのかということを感じ取っていただくための演習も行います。

自分が営業の仕事だと思っていたことは、本来営業としてやるべきことのほんの一部だったということに気付いてもらいます。2日目は、具体的なテクニック、具体的には、効果的なヒアリングのテクニックを中心に行い、効果的なプレゼンテーションやクロージングの手法についても触れます。但し、効果的なプレゼンテーションをするのも効果的なクロージングをするのも、相手のことをどれだけ知っているかということが非常に重要になりますので、結局ヒアリングが肝なんですよという話にはなります。」

―田路さん自身、前職で素晴らしい営業実績をあげられていますが、できる営業・成果を出す営業に共通したコンピテンシーは、この研修の内容と結びつく部分があるのでしょうか?

田路「そうですね。コンピテンシーというのは、『継続的に高い成果を残す能力』と定義されるのが一般的だと思いますが、そういう意味では原理原則がそのものですよね。仕事柄、様々な企業のハイパフォーマーに100人以上はお会いしていますが、皆に共通しているのは信頼関係づくりが上手だというところです。『信頼の基本原則』を押さえてないのに営業として実績を上げている人は一人もいなかったのではないかと思います。また、相手の話をきちんと傾聴できることもハイパフォーマー共通のコンピテンシーだと思います。」

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