社員を採用する際に「コミュニケーション能力」を選考基準の1つに挙げる会社は少なくない。
また、それに伴って、就職活動時に自己PRとして「コミュニケーション能力の高さ」をアピールする学生もいる。

しかし、コミュニケーション能力とは具体的にどんなポイントから成り立っているのか、明確に答えられる人は少ない。

明るく周りを盛り上げられること? 自分の意見をわかりやすく伝えられること?

アウトプットに関する能力も大切だが、インプットに関わる能力である「傾聴力」も、コミュニケーションの重要なポイントだということを忘れてはいけない。

傾聴とは、「相手の話に耳を傾けて、熱心に聞くこと」という意味だ。

 

「聞く」にはどのような姿勢があるのか、スティーブン・R・コヴィー博士は著書『7つの習慣』の中で次のように述べている。

相手が話しているとき、私たちの「聞く」姿勢はたいてい次の四つのレベルのどれかである。一番低いレベルは、相手を無視して話をまったく聞かない。次のレベルは、聞くふりをすること。「うん、うん」とあいづちは打つが、話の中身はまったく耳に入っていない。三番目のレベルは、選択的に聞く態度である。話の部分部分だけを耳に入れる。三~四歳くらいの子どものとりとめもなく続くおしゃべりには、大人はたいていこんなふうにして付き合う。四番目のレベルは、注意して聞く。神経を集中して、相手が話すことに注意を払う。ほとんどの人は四番目のレベルが最高なのだが、実はもう一段上、五番目のレベルがある。これができる人はそういないのだが、相手の身になって聴く、共感による傾聴である。

(スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版 )

難しそうと感じた方もいるだろうが、それは無理もない。

私たちは学校で何年も読み書きを習い、話し方を学んできたが、聴き方についてはトレーニングを受けた経験を持つ人はそう多くない。

 

そもそも「共感による傾聴」とは何だろうか。

共感による傾聴とは、まず相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くことである。

(スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版 )

 

共感による傾聴の大きな強みは、正確なデータを得られることである。相手の考え、感情、動機を自分の自叙伝に沿って勝手に解釈するのではなく、相手の頭と心の中にある現実そのものに対応できるのである。相手を理解しようと思って聴く。自分ではない人間の魂が発する声をしっかりと受け止めるために、集中して聴くのである。

(スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版 )

共感して聴くためには、耳だけではなく、目と心を使い、相手の気持ち、言葉の裏にある本当の意味、行動を聴きとることが大事である。

人の話を深く聴けるようになると、物事のとらえ方は、人によって大きく異なることがわかってくるだろう。

 

相手を深く理解し、その理解に沿って自分の考えを伝えると、相手もまた自分の話に耳を傾けてくれるようになる。

そしてお互いが深く理解し合えたとき、お互いの相違点はコミュニケーションの妨げではなくなる。
むしろ、さらに深度を増した濃密なコミュニケーションと相互理解を生み出すのだ。