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「信頼残高」とは?メリットや特徴・ビジネスにおける「信頼残高」を増やすポイントを解説

「信頼残高」とは、他者からの信頼感の度合いを銀行口座の残高に例えた言葉です。信頼残高について知ることで、よい信頼関係の築き方をわかりやすく考えられます。この記事では、企業の経営層や経営企画・人事担当者などに向けて、信頼残高のメリットや特徴、ビジネスにおいてそれを増やすポイントなどを解説します。ぜひお役立てください。

「信頼残高」とは

「信頼残高」は、スティーブン・R・コヴィー博士の著書「7つの習慣」に登場する概念です。他者からの安心感や信頼感を、銀行口座の残高にたとえて表しています。銀行口座の残高は、預金すれば増え、引き出せば減ります。信頼も同様で、「預ける」と増え、「引き出す」と減るという考え方です。

他者からの信頼感や安心感は、日頃からの相手への関わり方や言動によって蓄えられ、残高につく利子のように信頼が信頼を呼ぶこともあります。一方で、相手との信頼関係を、ただ利用し続けるだけでは、その関係はいつしか破綻してしまうでしょう。

「信頼残高」を増やすメリット

信頼残高を増やすことによるメリットはいくつかあります。信頼残高が多ければ、良好な信頼関係を築けている状態です。信頼残高が増えていくほど、異なる意見であっても考えを認め合えるといった、質の高いコミュニケーションにつながります。また、信頼残高が多いほど、相手との協力関係も強固といえるでしょう。

「信頼残高」の特徴

信頼残高の具体的な特徴や注意点について、以下で解説します。

「信頼残高」がマイナスになることもある

信頼残高は、銀行口座の残高と同じように、引き出してばかりでは、蓄えが底をついてしまいます。さらに注意しなければならない点は、信頼残高は銀行口座と違い、マイナスになる可能性があることです。銀行口座の預金であれば、ゼロになったらそれまでですが、信頼残高の場合は、相手からの信頼がゼロを超えてマイナスになってしまうこともあります。

「信頼残高」は相手ごとに違う

銀行口座の預金は、引き出せばどこでも使えますが、信頼残高は貯めた相手にしか使えません。信頼残高は、相手1人ひとり個別のものです。誰かの信頼残高が増えたからといって、他の人の信頼残高も増えるわけではない点を、理解しておかなければなりません。

「預け入れ」は少しずつ「引き出し」は一瞬

信頼残高は、日々の積み重ねで少しずつ増えていくものです。しかし、時間をかけて貯めた信頼残高も、場合によっては一瞬にして減ってしまいます。例えば、企業が不祥事を起こしたり、大切な約束を反故にしたりすれば、貯まっていた信頼は一気に引き出され、信頼残高はゼロもしくはマイナスになる可能性があります。

さらに、一瞬で引き出されてしまった信頼残高を、再度貯めていくのは通常よりも多くの時間がかかるのです。

【関連記事】一度失った信頼は回復可能か?信頼を失うNG行動と信頼を取り戻す7つの処方箋

信頼残高に「預け入れ」する6つの方法

信頼残高の預け入れが増えるほど、相手との信頼関係は強くなります。ここでは、信頼の預け入れが増える6つの方法を解説します。

1.相手を理解する

相手を理解しようとすることは、信頼残高の預け入れにおいて、基礎となる考え方です。信頼残高は、相手から信頼を得ることで増やせます。そのための行動指針となるのは「相手の喜ぶこと」であるかどうかです。

しかし、自分が「相手が喜ぶ」と思ってとった行動であっても、本当に喜ばれるとは限りません。相手の関心ごとに自分も関心を持ったり、相手の大切にしていることを尊重したりすると、相手をより理解することにつながります。

2.小さなことを大切にする

信頼残高に預け入れするためには、些細に思えることにも気を配りましょう。丁寧な挨拶や相手の体調を気遣う声掛け、席を譲るなど小さな心遣いや親切は、積み重ねていくことで信頼の預け入れになります。

一方で、失礼な態度や不親切な言動は、信頼残高を引き出す行為です。たとえ小さくても、無神経な行動も積み重なれば大きな引き出しになります。初対面や親しい間柄などの関係性に関係なく、気をつけましょう。

3.約束を守る

約束を守る・守らないは、約束の大小に関わらず、信頼残高への影響が大きいものです。口約束のような小さな約束も、守れば相手の期待に応えることになり、結果として信頼残高を増やすことにつながります。

ただし、有能な人ほどあらゆる機会を逃すまいとするアンテナが敏感なため、多くの約束をしてしまいがちです。大きな責任や重荷となるような無理な約束は、守れなくなることもあります。信頼残高の預け入れを増やすどころか、引き出してしまわないように注意しましょう。

4.期待を明確にする

信頼残高の預け入れを増やすためには、人と関わるなかで、互いに何を期待しているか、相手に何を求めているかを明確にすることも重要です。曖昧なまま物事が進めば、相手の期待とズレた結果になったり、誤解を生んでしまったりなど、トラブルの原因になります。

相手の立場や年齢を問わず、伝えたり、確認したりすると誠実さも伝わり、結果的に信頼残高が増えることにつながります。

5.誠実さを示す

誠実であることは、信頼残高の引き出しを防ぎます。誠実であるとは、常に一貫性を持つことや、裏表のない言動などを心がけることです。誠実さは、信頼残高の引き出しを防ぐだけでなく、預け入れを増やせます。

逆をいえば、言っていることとやっていることが違えば、信頼残高から信頼は引き出され、気がついたときには、信頼残高がマイナスになっていた、という事態も起きかねません。

6.信頼残高を引き出してしまったときは、誠意をもって謝る

「信頼残高から信頼を引き出す」とは、相手からの信頼を失う言動をしてしまうことです。もし、そういった自分の言動に気づいた場合は、過ちについて心から謝りましょう。

信頼残高は、自分の過失によって、一瞬でゼロもしくはマイナスになってしまいます。しかし、過ちを犯した際の誠意ある謝罪が、信頼の「預け入れ」のチャンスになることもあります。引き出してしまった信頼は、一気に取り戻そうとせず、誠実にまた積み重ねていきましょう。

ビジネスにおける「信頼残高」を増やすポイント

ビジネスにおいても、信頼残高を増やすことは重要です。ここでは、顧客からの信頼残高を増やすポイントについて解説します。

顧客にウソをつかない

売上数や契約数を伸ばしたいがために、商品やサービスを魅力的に見せようと、実績を過大に表現してしまう人がいます。しかし、そういったウソは、顧客に対しての誠実さがなく、信頼残高を失う行為です

ウソは必ず露呈し、積み重ねた信頼は一瞬で失われます。さらに、SNSで拡散されるリスクもあり、個人だけでなく企業全体の信頼残高を引き出してしまう恐れもあります。

顧客にとって「価値ある情報」を提供する

信頼残高は「相手が喜ぶこと」を提供すると増やせます。顧客は、商品やサービスだけでなく、顧客にとって有益な情報を求めています。顧客へ価値ある情報を提供できているかを、心がけましょう。

また、信頼は積み重ねのため、価値ある情報の提供をし続けることも、信頼残高を増やすポイントになります

継続してフォローする

売った商品や提供したサービスは、そこで終わりにせず、その後もフォローし続けることで、信頼残高が増やせます。アフターフォローがないと、多くの場合、顧客満足度を下げる原因となり、売る前に積み重ねたはずの信頼残高も、引き出されてしまいます。

逆を言えば、アフターフォローをすると、売る前よりも多くの信頼残高を増やせます。顧客とは、関わる時間が限られるからこそ、関わる際の誠実さがポイントになります。

まとめ

「信頼残高」は、他者からの信頼度を銀行口座の残高に例えた考え方です。信頼残高は、増えるほど相手との信頼関係が強固だといえますが、引き出しは一瞬で起きてしまう点に注意しなければなりません。

信頼は生まれ持っての資質ではなく、後天的に獲得できるスキルです。お互いに信頼しあって動いているチームや組織は、カルチャーの中心に信頼を醸成していないチームや組織をはるかに上回る業績を上げます。私たちフランクリン・コヴィーはリーダーがチームや組織内に信頼文化を醸成するためのマインドとスキルを身につけることをサポートする教育プログラム「スピード・オブ・トラスト リーダー」を提供しています。詳しくはこちらからお問い合わせください。

 

フランクリン・コヴィーは、「お客様の成功」に貢献するサービス提供や支援を行っています。以下の4つは、最高の業績を上げている組織が、常に適切に実施していることです。

・各階層で優れたリーダーを育成する
・個々人に効果的な習慣を形成する
・包括的で信頼性の高い文化を構築する
・共通の実行システムにより最重要目標を追求する

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