インタビュー:斎藤 氏(後半)
―「ディスカバリーの導入は、最初の方が良いということでしょうか?」
斎藤「実際、マナー研修の前にディスカバリーを導入されるお客様も多くなってきました。私が担当させていただいているお客様では、以前は割と新入社員教育の総まとめとして導入されることが多かったですね。勿論、それも効果がないわけではないですが、折角の他の研修や現場実習にディスカバリーが活かされないのは勿体ないことです。何週間もかけて新入社員教育を実施している企業もありますが、冒頭でディスカバリーを導入することで、そこから先の新入社員教育での彼らの行動が変わってきます。
ディスカバリーの最大の特徴は、「こうしなさい」と私たちファシリテーターが教えることではなく、参加者が徹底的に自分と対話し、自分を発見し、参加者自らが組織人としてのマインドをしっかりセットするということです。更にディスカバリーで学んだことを共通言語化することで、研修期間中も新入社員同士が相乗効果を発揮していくといった場面も出てくるでしょう。もう一つ最近、私がディスカバリーの導入タイミングで効果的だなと思っているのは、内定者に対して実施をするというものです。内定式とセットで導入されている企業もあります。
内定が決まって、入社までの残り半年をどう過ごすかという時期に、あと半年しか学生生活ないと思うのか、社会人になるまでにあと半年どうやって使おうかと思うのでは、半年間の使い方が違ってきますよね。勿論学生生活の最後に目一杯遊んで、満喫していただくのは良いことですが、遊ぶ中でも気づくことや得られることが沢山あるはずです。ただ単にいい思い出に終わったと忘れていってしまう遊びだとしたら、ウォーミングアップになりうるはずの半年間が勿体ないですよね。4月に新入社員研修を受ける準備からして違ってくるでしょう。入社式の次の日にディスカバリーを受けるのも効果的ですが、さらにそれよりも前に助走していたとすると、スタートした瞬間のダッシュが全然違ってくるというわけです」
―「昨今のニュースでは、最近の新入社員の傾向として、すぐ答えを求めがちである、マニュアルを重んじるということも耳にします。今のお話と真逆の傾向と言えますが、実際ディスカバリーのセミナーをしている中で、新入社員の方々は納得されますか? また実際のセミナーの中でのディスカッションや発言は活発ですか?」
斎藤「セミナーの中でも、「こういう場合どうしたら良いですか?」と質問を受けることはあります。しかし、新入社員の方々よりもむしろ、中堅になりかけたくらいのキャリアの方々の方が答えを欲しがる傾向にあると感じます。新入社員だと、まだ具体的な問題を抱えるまでに至っていない、ということもあるかもしれません。真っ白の状態ですから、比較的新しいことも素直に吸収する傾向にあると思います。そして、確実に昔に比べて表現力は高くなっています。これだけネットが普及した社会ですから、世界が広がっているんですよね。そういう意味では20歳なら20歳までに、友達だけではなく、出会える人や手に入れられる情報量は昔とは比べ物になりませんね。
就活でも様々なテクニックを学び、色々な表現の方法を知っているので、問いかけに対して返ってくる答えはきちんとしています。一昔前だと「わかりません」「隣の人と同じです」という回答が多く見受けられましたが、そういった傾向はなくなりました。ただ、表現力は高いけれども、それが本心かどうかはわかりません。全体的には感じたことを素直に話してくれる人がほとんどですが、中には当たり障りのない内容を答えたり、求められている答えを先読みして答えたり、優等生的、保守的な回答も見受けられますね。」
―「セミナーのアンケートの中ではどのような受け止められ方をしているのでしょうか」
斎藤「やはり優等生的コメントが多いですが、何について書いているかというとパラダイム転換について書いていることが圧倒的に多いです。これは7つの習慣でもそうだと思いますが、参加者にとってはインパクトが強いんですね。
ある程度限られたコミュニティの中で育ってきた人ほど、逆にこれからいろんな年代、タイプの人と接していかなければいけない不安があったりしますよね。漠然とした不安を持ったまま苦しむよりも、「不安」の部分をパラダイム転換することで違いを楽しむ、と置き換えることもできるわけです。」
―「新入社員のフォローアップ研修についてはいかがですか?」
斎藤「ディスカバリーはスタート地点で受けるセミナーですから、そのあと本配属になって新入社員たちは「組織人」として成長を始めていくわけです。悩んだり、必死でやってきたことをフォローアップ研修で振り返った時に、成長実感というのを知識とスキルの側面だけではなく、組織人として、一個の人間としてマインド面の成長が自信というか自己信頼感につながっていたらいいなと思います。
マインドはプログラムでは教えてもらえない、というのが前提条件にあります。自分で発見、つまり「ディスカバー」しなくてはいけない。だから何が「ディスカバー」できたのか振り返るのが大事なポイントです。
そしてこれからもっと「ディスカバー」していくには何が必要かということを考える機会を作るのが望ましいです。
―「新入社員向けのセミナーを実施する場合、ファシリテーターとして気を付けているところやほかの研修と異なる点などありましたら教えてください」
斎藤「私は自分がファシリテーターの養成を受けていた時から、「お兄さん」的キャラクターと言われることが多かったので、新入社員向けの研修では素のままの自分で参加者に接しています。ただ、参加者から答えを依存されないように、空気を作っていますね。もともと参加者が自分で考えて、自分たちで答えを出してもらうセミナーですから、それは大事なポイントです。
これが、年次の上の社員へのセミナーであれば、「答えは皆さんのなかにあります」と直接伝えるのですが、新入社員の場合はそういうことを言わないで、こっちに頼っちゃだめだよという雰囲気で伝えるようにしています。例えば自分が新入社員だった時の事例を話すときも、「昔は」こうだったとあえて強調するようにしています。それは今と当てはまらないよという話です。つい先輩や先を行く人の足跡をたどりたくなるものですが、答えや道は自分で発見するものですから。だから自分の中の過去の経験からある新入社員像という思い込みでマニュアルを作らないようにしている、ということがファシリテーションをするうえで心掛けていることです。」
―「ディスカバリーは社内ファシリテーター認定コースもありますが、社内ファシリテーターを目指す方にアドバイスがありましたら教えてください。」
斎藤「まず、自分が採用・教育したからという責任感を過剰に持ちすぎないことですね。新入社員が現場に配属された後に、現場からは「ちゃんと教育したの?」と言われることを恐れると、ついつい色々教えがちになってしまいます。新入社員研修の担当者は人事と教育を兼務されていることが多いので、採用と教育と両面から矢面に立たされるという苦しい立場に置かれることがありますよね。
それで、色々詰め込んだりとか、型にはめようとしたりなりがちなんですが、ディスカバリーの考え方からするとそれは本意じゃないですよね。そもそもいくら詰め込んでも詰め込みきれないんです。この先輩にこうやって挨拶した方がいいよとか、そんなの一人ひとりやっていられないですよね。
だから何とかしようとすると、どうしてもティーチング傾向が強くなってしまうのですが、そうなると現場に配属されてから「それは教えられていません」と言う答えを平気でされたりすると、何のための詰め込みか、ということになってしまいます。
社内ファシリテーター用のファシリテーターガイドに沿って、しっかりマニュアルを頭に叩き込むことは間違いではないのですが、そのうえでファシリテーションを磨いていくことはとても大切です。
ディスカバリーは7つの習慣に続いて、バーチャル・サーティフィケーション・ワークショップ(VCW)もいよいよリリースされましたが、いつでもどこでも何度でも、このVCWを使って復習することで、コンテンツの理解に自信を持ち、何度も練習と、何より人からのフィードバックいただく、ということを繰り返すことが一番の早道だと思います。」
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