戦略の実行プロセスで注意すべき5つのポイントとは ①「Cascade」(目標や戦略を階層的に細分化し下ろしていく)さえ行えば、目標は達成されるのか

目標を上から下に伝えれば理解される?

目標を上位組織が決め、現場レベルまで落とし込もうとするとき、通常の組織では、「上(上位組織)から下(下位組織)に伝える」ことが行われます。

そして伝達された目標は、一般的には、MBO(目標管理制度)と呼ばれる制度で管理され、トップから現場までのアライメントを図ろうとします。制度上(見た目)は、戦略目標がトップレベルで策定され、上位組織からフロントラインまで落とし込まれている状態です。

上位組織から見れば、「上から下に伝えたのだから、あとは現場で。以上!」ということでしょうか。

これはどこの組織でも、目標を掲げる限りはしていることでしょう。しかし、Cascadeとは言いながら、単に下部組織に伝達しているだけなら、理想的でも効果的でもない、単なる業務目標の落とし込みの状態です。実際には「以上!」では済みません。
実際には、どのような状況なのでしょうか。

フランクリン・コヴィーが行った調査結果によれば、「活動には落とし込まれていないものの、戦略は理解している」と思う経営者・管理者は32.9%、「戦略がつくられた理由や背景も含め、確実に理解しており活動に落とし込まれている」とする経営者・管理者は25.4%おり、活動し、成果を出しているかどうかは別としても、戦略の理解は約半数のマネジメント層が認めているようです。 メンバー側からの理解はともかく、マネジメント層は「理解しているだろう」と考えているようです。

あなたの組織ではいかがでしょうか。

本来であれば、「戦略がつくられた理由や背景も含め、確実に理解しているし、活動に落とし込まれている」というのが、求められているかたちでしょう。経営陣も、そうなるように日々マネジメントを行っているはずです。しかし、実態は、この調査結果にもあるように、約4社に1社しか、目標を理解し、活動に落とし込まれている状態にはなっていません。

なぜこのようなことになっているのでしょうか。

今期の目標は「前年対比X%アップ!」


まず、多くの場合、上位組織で目標が戦略的に設定されていません。もっとも避けたい状態は、上位リーダーが、コンセプチュアル・スキルを行使せずに、単に慣習的にルーティン目標を伝言していっているものです。

例えば、「売上対前年度X%アップ」という目標が最たるものでしょう。その「X%」に何の根拠もなく、これまでの慣習通りに、戦略的な根拠や新たな投資などに関しては何も提示されず、あくまでリーダーの希望的観測のみです。実現する方法を考えるのは現場だと言わんばかりかもしれません。

これでは現場では、何か新商品や新サービスでも用意があるのか、ないのであればどのように同じリソースでどうやって売上拡大すればいいのか、検討もつかないでしょう。かといって、リーダーが現場に入り込み、戦略・戦術をともに考え策定することもなく、ただ放任してしまうことも少なくありません。また、こういうリーダーに限って、「現場が目先の仕事だけして困る!」と言うことが少なくありません。現場にとってはたまったものではないでしょう。

こうなると、問題は現場にあるのではなく、リーダーの目標設定が問題であると指摘せざるを得ません。

こうした状況は、これはある時突然に起こるのでなく、このようなプロセスそのものが「文化」になってしまっているのかもしれません。そして、リーダーや経営企画担当者、人事トップは、このような問題を把握し、そこで「違った結果を得るために違ったことを」しようとしますが、そのアプローチとして、トレーニングで解決しようとするわけです。

リーダーはスタッフが納得できる目標・戦略を策定

環境の変化も少なく、右肩上がりの成長が続いている時代はよかったのかもしれません。向かうべき方向は明確で、現場マネージャーの号令どおりに実行さえすれば、望む結果を得ることができたのでしょう。

ところが時代が変わり、環境の変化が激しく、テクノロジーの進歩や情報の量が、かつてとは比べ物にならないほど大きくなりました。大きなビジョンは変わらなくとも、戦略・戦術は臨機応変に変えていく必要があります。さらに、スピードが要求され、その都度上司に伺いを立てる時間的余裕も少なく、現場レベルで判断し、対応する必要もあります。

加えて、メンバーのモチベーションも大きく変化してきています。組織に対するロイヤリティにおいても、終身雇用・年功序列になんら疑問を挟まない時代とは違い、働き方は多様化し、働き手にある程度の裁量も増えてきました。

「Cascade」を効果的に行うには、まずリーダー自ら戦略的な背景、コンテキストを含めた、現在の環境にふさわしい目標・戦略を策定し、十分なコミュニケーションによって全スタッフが納得したうえで、それぞれが実行計画を策定することが必要となります。

【調査レポート】企業の成長につながる、重要な戦略の実行に関する調査

フランクリン・コヴィーは、「重要な戦略や目標がなぜ実行されないのか」というテーマについて、大手企業に勤務するビジネス・パーソン1000名を対象に調査を行いました。
この調査の中で「チームの戦略・戦術を理解していない」個人の割合が6割以上というショッキングな結果が明らかになりました。

現在のような情報社会においては、多くの企業で戦略策定に、時間やリソースをかけ、綿密な戦略を策定されています。特に、このコロナ禍において、多くの企業がこれまでとは異なる戦略への転換を余儀なくされました。

経営コンサルタントとして著名なラム・チャランが「戦略の失敗の70%は、実行のまずさによる。知性やビジョンの欠如によるのではない」と述べているように、今こそ「戦略の実行力」が必要となれているのではないでしょうか。

ここで紹介する調査結果は、日本におけるビジネス・パーソンの「実行力」の平均値ということができます。この調査結果をご覧いただければ、日本企業における「実行力」は、待ったなしの課題であるとお感じになるでしょう。

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