組織に実行文化を醸成する

戦略を実行するためのプロセスやスキルを各メンバーが知識として学んだとしても、実際に、継続して成果を得続けるためには、組織のなかにシステムとしてインストールする(浸透させる)必要があります。さらに、そのシステムを動かしていく仕組み(定期的に進捗状況を確認し次のアクションを決める)も必要となります。

ここまで実現できてはじめて、その組織のなかで、戦略を実行していく基盤、つまり「実行文化」が醸成されることになります。

 

一言で「文化」と言っても、様々なとらえ方がありますが、フランクリン・コヴィーでは、次のように定義しています。

文化:Behavior Change = 行動変容

つまり、新しい知識やスキル、システムが全員の行動を変えることが文化につながるのです。どれだけ知識を得て、「大きな気づきを得た」と全員が感じても、「行動」として現れない限り意味はありません。

現在、「研修」や「人材育成」において、もっとも大きくて、強力なキーワードが存在します。

それは、「研修効果」です。

このテーマについては、長らく様々な議論、研究、手法、トライ&エラーがなされてきました。しかし、どの企業においても、これが「研修効果の測定方法だ」と自信を持って言える仕組みを持っているところは少ないでしょう。結果、単純にアンケートで満足度を測ることになってしまっているのではないでしょうか。その指標が本来の研修効果という目的に対して、インパクトが測れるものではないことは、誰もが感じているにもかかわらず、それ以外の手法では費用対効果を考えれば、導入は難しいというのが実態ではないでしょうか。

研修から文化まで

研修で知識を得るところから、実際にシステム化されて文化となるまでには、どのようなプロセスが存在するのか、考えてみましょう。

研修参加によって、ある特定の知識を習得したとします。それを具現化して速やかに「思考・行動レベル」に落とし込むことができる人は、皆さんのご経験からどれくらいの割合いるでしょうか。もちろん、研修内容、参加者レベルによってまったく異なると思いますが、担当者が答える多くの答えは、決して高い割合ではなく、良くても半分程度です。

次に、その行動を継続し、「習慣レベル」まで到達する人はどれくらいの割合になるでしょうか。私の経験では、もっとも多い声はゼロです。最大でも1割といったところでしょうか。これは研修内容や参加者レベル、業界に関わらず、似たような回答となります。

まだ上のレベルがあります。それは「文化レベル」です。これは習慣化された人たちが「集団」となるということです。ここまで到達できる組織は、残念ながら、かなり少数です。

Move the Middle!

次の図は、モデルとなるような人、能力はあるけども本当の力を出し切っていない人、そして、戦略などに同意せずむしろ反抗するような人が、組織のなかにどのような割合で存在するのかをモデル図的に描いたものです。

多くの組織で、(多少の多い、少ないはあるにせよ)おおまかには、「2:6:2の法則」が適用されるのではないでしょうか。

しかしながら、もし組織において、新たな知見やシステムを習慣化した人が集団になり、文化レベルにまで到達したならば、このモデル図は、次のようになるでしょう。

ポテンシャルメンバー6割の人が、トップ2割と同じレベルになり、組織の実行文化に対して影響を及ぼした、または新たな文化醸成に至った状態です。

このパラダイムは研修に限らず、文化醸成に対して様々な示唆を与えてくれます。たとえば、これは組織においてはあまり好ましくないケースですが、ほんの一握り(斜に構えるレジストメンバー20%)の人の発言力が強く、それにリーダーや経営陣が対応しすぎてしまい、なかなか現状を変えることが難しいという状況に陥った組織は少なくないはずです。

しかも、SNSや社内ネットワークが整備され、個人がこれまで以上に自由に発信できるようになり、日本独特の「和をもって・・」という考え方が美徳とされていた組織の価値観にも変化が訪れ、時代的にも変化しています。ネットワーク化やグローバル化の波によって、この傾向は、ますます強くなると思われますので、組織のリーダーの人たちは、こうした一部の声に対してどう対応するかが、さらに大きな課題になるかもしれません。

しかし、こういう時代においてこそ、むしろフォーカスすべきは、ボトム2割の声ではなく、真ん中6割の人達をどう上に引き上げるのかということです。ボトム2割の人を一時的に押さえることができたとしても、すぐに同じことが起きるでしょう。そうではなく、ミドルの6割を右に動かすのです。ミドルが右側に動き始めたら、確実に組織は変わります。リーダーたちは組織が変わってきていることを実感するでしょう。そうなれば、ボトムの人は追随する人もいないわけですから、上がらざるを得ない状況となっていきます。

文化醸成のスローガンは「Move the Middle! です。

 

 

【無料ガイド】組織のパフォーマンスにインパクトを:”中間層”をハイパフォーマーに引き上げる

組織内でもチーム内でも、メンバーのパフォーマンスにばらつきがあると、必ず結果にばらつきが生じます。素晴らしい成果を生み出す鍵は、ハイパフォーマー(高い成果を生み出す人)の行動を組織内で広げていくことです。

人のモチベーションに関するいくつかの基本的な事実を適用することで、平均的なメンバーをハイパフォーマーに、一般的なチームを強力なチームに変えることができます。組織内の中間層を動かすことが組織全体のパフォーマンス向上につながります。

ご紹介項目
単なる業務遂行を超えて
第1の規律: 最重要目標にフォーカスする
第2の規律: 先行指標に基づいて行動する
第3の規律: 行動を促すスコアボードをつける
第4の規律: アカウンタビリティのリズムを生み出す
チームメンバーは勝利を願っている

この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事